トー横キッズが共感し合える関係を築き上げる訳 少年少女たちのリアルに開沼博が迫る【後編】

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「新宿東宝ビル」(旧コマ劇場)周辺に集まる少年少女たちは苦しさやつらさを吐露し合っている(筆者撮影)
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新宿・歌舞伎町で飛び降り自殺や性暴力、傷害致死事件などが頻発したことで注目を集めている「トー横キッズ」。“地雷系”と呼ばれる独特なファッションに身を包み、ゴジラのオブジェで知られる「新宿東宝ビル」(旧コマ劇場)周辺に集まる少年少女の一群を指す言葉だ。前編に続き、クリーン化が進む現代日本の隠された闇を追い続ける東京大学大学院准教授で社会学者の開沼博氏が、現役のトー横キッズと向き合い、生活の実態や彼らが集まる理由に迫った。
前編:トー横キッズが歌舞伎町に居場所求める本当の訳(12月9日配信)

ホテルのシングル部屋に10人で雑魚寝

開沼博(以下、開沼) R君みたいなコアな「トー横民」の街での暮らしぶりを教えてください。ホテルで寝泊まりしている人も多いと言っていましたよね。

トー横キッズのR君(以下R君):歌舞伎町周辺の1泊5000〜6000円のビジネスホテルで寝泊まりしている人間が多いですね。

開沼:1人で部屋を取って住んでる感じ?

R君:いや、たまたま金を持ってる女の子がシングルルームを1週間分とか取って、そこに5〜10人で雑魚寝する感じです。

開沼:ホテル側から注意されないんですか。

R君:今年に入って、アパホテルでトー横民の飛び降り自殺が相次いだこともあって、アパからは排除されましたが、他の安ホテルはまだけっこう大丈夫ですね。

開沼:ホテル代はみんなで割り勘?

R君:それはありえないです。基本、中高生がメインなんで、1000円、2000円持っていればいいほう。だから大抵はたまたま日銭が入った女の子が部屋を取って、金のない仲間を泊めてあげるという感じです。

開沼:男女で雑魚寝すると。そうなるといろんな問題が起きませんか。

R君:たまに異性の取り合いとかで揉める人間はいますけど、基本的に揉めないですね。こっそりエッチしているカップルは稀にいるけど、レイプとか性犯罪はない。男女ともに、そういう暴力的な世界が嫌で集まっている子たちなんで。

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