「ユニクロ銀行」が誕生する日も遠くない!? エンベデッド・ファイナンスの恐るべき衝撃

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アパレルの雄がエンベデッド・ファイナンスに参入する可能性は十分にありそうだ(撮影:今祥雄)
フィンテックの新たな潮流としてエンベデッド・ファイナンス(Embedded Finance)が今、大きな注目を集めている。embedは埋め込む、植え付けるなどの意味で、日本語では組み込み金融、埋め込み金融、あるいはモジュラー型金融などと呼ばれている。簡単にいえば、「金融以外の事業を展開する非金融企業が、既存サービスに金融サービスを組み込んで提供する」という意味だ。
海外では、グーグル、アマゾン、アップルといった巨大IT企業が決済、送金、融資、クレジットカードの発行などに乗り出している。「すべての企業は金融サービス企業になる」と予言する業界関係者もいる。
欧米の導入事例から日本の動向まで詳しく取り上げた『エンベデッド・ファイナンスの衝撃』は、日本初のエンベデッド・ファイナンス入門書だ。著者の城田真琴氏が、エンベデッド・ファイナンスがもたらす近未来を予想する。

今や、日本を代表するファストファッション企業となったユニクロ。そのユニクロが銀行業に進出すると聞いたら驚くだろうか?

『エンベデッド・ファイナンスの衝撃: すべての企業は金融サービス企業になる』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

ユニクロのスマホアプリをインストールしている人なら、2021年1月にサービスを開始した「UNIQLO Pay」の存在に気づいていることだろう。

UNIQLO Payはユニクロが提供するキャッシュレス決済サービスだ。ユニクロアプリに銀行口座、もしくはクレジットカードを登録すれば、あとは店舗のレジでアプリの会員証(QRコード)をスキャンするだけで支払いが完了する。2021年10月からはユニクロのオンラインストアでも使えるようになった。

これだけなら、乱立する「〇〇ペイ」の一つと片付けてしまいたくもなる。しかし、JAL、ヤマダホールディングス(ヤマダデンキ)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が相次いで銀行サービスの提供を開始している現状をみれば、ユニクロが銀行サービスの提供に乗り出しても不思議ではないと思えてくる。

銀行口座で顧客囲い込みに動くヤマダ

たとえば、ヤマダホールディングスは、2021年7月から金融子会社のヤマダファイナンスサービスを通じ、「ヤマダNEOBANK」という銀行サービスの提供を開始している。申し込みは「ヤマダデジタル会員」のアプリからしかできない。このことからわかる通り、この銀行サービスは、ヤマダデジタル会員だけが対象だ。申し込みだけでなく、普通預金や定期預金、振込・振替、外貨送金、インターネット募金などの銀行取引やサービスはすべてアプリで完結する。今風のスマホ銀行である。

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