「ユニクロ銀行」が誕生する日も遠くない!? エンベデッド・ファイナンスの恐るべき衝撃
CCCがグループ会社のTマネーを通じて提供する「T NEOBANK」は、Tポイントが貯まる。外貨預金や給与受取口座に指定するとポイントが付与される点は同様だが、最大の特徴は競馬(中央競馬、地方競馬)、競輪やスポーツくじ(BIG、toto)の利用でもポイントがたまる点だ。スポーツくじの場合は、くじの購入でポイントが付与されるだけでなく、購入時に1ポイント=1円として利用することもできる。
ヤマダホールディングスもJALもCCCも自前で銀行業の免許を取得して銀行サービスを開始したわけではない。住信SBIネット銀行が提供する「NEOBANK」と呼ぶBaaS(Banking as a Service)を利用し、自らは住信SBIネット銀行を所属銀行とする銀行代理業者としてふるまう。実態としては、消費者は住信SBIネット銀行の「ヤマダネオバンク支店」「JAL支店」「Tポイント支店」に口座を開設していることになり、実際の預金の受け入れやローンの貸し付けは住信SBIネット銀行が行う。
異業種による銀行サービスの提供というと、セブン銀行やローソン銀行などをイメージするかもしれない。しかし、この2行は銀行免許を保有するれっきとした銀行である。その点で大きな違いがある。自ら銀行免許を取得するのではなく、BaaSを利用して金融サービスを提供するメリットは何か。それは、銀行と同レベルの高いセキュリティ機能を備えた金融サービスを、手間も時間もコストも抑えつつ、自社ブランドのサービスとして提供できる点である。自社で銀行免許を取得して銀行を営むとなると、初期投資だけで数百億円、毎年のランニングコストに数十億円は必要になるだろう。
BNPLという一大トレンド
冒頭のユニクロ銀行に話を戻そう。ユニクロが銀行サービスを提供すると仮定した場合、最初に提供するのは、今はやりのBNPL(Buy Now, Pay Later)、簡単にいえば、(分割)後払いサービスが有力だ。ひと昔前はチープなイメージがあったユニクロだが、デザインが洗練されるにつれ、ブランド化して価格帯も上がっている。オンラインストアで価格を眺めると、1万円を超える商品は珍しくなく、「ウールブレンド チェスターコート29,900円」など、30,000円近い商品も散見される。欲しい商品があるが懐事情が苦しい場合、後払いでもOKとなれば、消費者の購入意欲は削がれることなく、むしろアップする。各種調査によれば、後払いが利用できると、消費者の購入単価はアップし、リピーターも増えるという。
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