ピクサー、東映、ジブリ--アニメ産業、若手育成とヒットの関係
つまり、ジブリのスタッフには、宮崎監督のビジョンを映像化することが求められる。少なくとも、ピクサーのように集団でアイデアを出し合うという体制には見えない。
かつてジブリに籍を置いていたあるアニメーターは「ジブリでは、スタッフの個性には規制がかかっていく。そもそもジブリに人材育成という概念はない」と評する。
低賃金で脱落者続出 日本アニメの若手不足
世界中から優秀な人材が集まるピクサーと異なり、日本のアニメ業界には、若手アニメーター不足という根本的な問題がある。
押井監督も08年、自身の劇場映画制作時に必要なアニメーターの頭数がそろわず愕然としたという。「第一線で活躍しているアニメーターの多くは40代以上。あと10年もすれば引退してしまう」と警告する。
アニメーター不足の理由でまず挙げられるのが、新人アニメーターの賃金の安さ。
日本アニメーター・演出協会(JAniCa)調べでは、20代アニメーターの平均年収は110万円。低賃金のため、一人前になる前に脱落してしまうケースが後を絶たない。そのため、ベテランの技術が次世代に伝わらない。
事態を危惧した文化庁は、国費2億円を投じ若手アニメーター育成に向け改善策に乗り出した。