進まぬ異業種参入、ドラッグ業界の独走
業種を超えた強者連合の誕生は先送りされた。7月14日、ドラッグストア首位のマツモトキヨシホールディングスとコンビニ2位のローソンは、合弁会社の設立を延期することを明らかにした。
両社は昨年8月に業務提携を締結。ドラッグとコンビニを融合させた新業態店の開発を目指し、今年5月に合弁会社「エムケイ・エル」の設立を進めていた。当初は5年で1000出店を目標に掲げたが、「新業態店はまったく新しい挑戦。共同出店で検証を重ねたい」(マツキヨ)とトーンダウン。当面はマツキヨ店内にローソンを併設するなどで、様子を見ることになった。
昨年から相次ぐドラッグとコンビニの業務提携だが、いまだ融合店の出店は進んでいないのが実情だ。背景には、医薬品販売をめぐる異業種参入の難しさがある。
参入障壁引き下げで市場拡大狙ったが…
「攻めるコンビニとスーパー、守るドラッグ」。
昨年6月の改正薬事法施行に当たり、これが関係者の共通した見方だった。法改正の目的は、セルフメディケーションの推進による医療費削減。国は大衆薬販売のハードルを引き下げて異業種参入を促すことで、市場拡大・活性化を期待した。
法改正に伴い、大衆薬はリスク別に第1~3類に分類され、リスクの高い1類を除く9割以上の医薬品は、薬剤師以外の「登録販売者」でも販売できるようになった。
登録販売者の資格取得には1年の実務経験が必要だが、1カ月当たりの資格手当は薬剤師の10万円に対し、5000円程度と20分の1だ。薬剤師不足と人件費高に悩むドラッグにとっては、出店の弾みとなる。