シャンシャン中国行き12月期限、結局いつ見納め? 「入国制限・成都直行便は運休」先行き不透明
一方で、中国返還が再び延長される可能性も大いに考えられる。10月下旬~11月中旬に筆者が取材した限りでは、延長を予想する関係者のほうが多い。
理由の1つは、世界でも指折りの厳しい入国制限。中国大使館によると、中国は国外からの渡航者を原則14日以上、隔離する措置を続けている。しかも中国では10月下旬から感染が再拡大している。
中国国務院が11月6日に公表した中国各地の感染状況では、四川省などに関し「細心の注意を払う必要がある」としている。シャンシャンの移住先と予想される施設は、いずれも自然豊かな場所なので感染拡大とあまり関係ないかもしれないが、四川省にある。中国は、少なくとも、北京五輪が開幕する2022年2月までは厳しい入国制限を続けるのではないだろうか。
ただ、中国の入国制限が緩和されなくても、シャンシャンを返還する方法はありそうだ。例えば、上野動物園の職員を、上野動物園から中国の空港までシャンシャンに同行する人と、中国の空港から中国の飼育施設まで同行する人に分ける方法。後者は、シャンシャンよりも早く中国へ行く必要があり、隔離期間が14日間なら、それより前に入国する。
体への負担をなるべく避けて渡航
シャンシャンの中国返還を手がける業務は、阪急阪神エクスプレスが181万3912円(税抜き)で2020年10月2日に落札した。同社は上野動物園と神戸市立王子動物園のパンダの輸出入をすべて担当している。履行期間は2020年11月20日~12月31日だったが、東京動物園協会によると、契約は内容を変えずに延長している。
シャンシャンが中国で住む場所は、都によると11月中旬時点では決まっていないようだが、航空機の行き先は四川省・成都の空港だ。日本からの成都直行便はコロナ禍で運休中のため、チャーター機でなければ上海などで乗り継ぐ。どの航空機を使うかは未定。「中国側と相談しながら、できるだけ動物の負担にならない形で返還できるように努力します」(中田課長)とのことだ。
181万3912円には陸路(上野動物園~成田空港)・空路の輸送費や、日本と中国の空港での通関事務にかかる費用なども含まれる。「一般的に動物を航空機で運ぶ費用は、高額な順にチャーター機、貨物専用機、旅客機の客室下部となります。最近は需給逼迫と原油高で輸送費が上がっています。181万円では成都までチャーター機で行くのは難しい」(輸送に詳しい専門家)との見方もある。
シャンシャンの両親であるリーリー(力力)とシンシン(真真)は、5歳だった2011年2月に四川省・雅安から車で成都の空港へ行き、成都~上海は四川航空機、上海~成田は全日空機で運ばれた。リーリーとシンシンに関する日中のパンダ保護研究協力期間は当初、2011年2月21日~2021年2月20日だった。だが、2026年2月20日までに延長されたので、2頭の日本滞在も5年間延長されている。
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