シャンシャン中国行き12月期限、結局いつ見納め? 「入国制限・成都直行便は運休」先行き不透明

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中国が国外に貸与したパンダから生まれた子は、性成熟の年齢に近づくと繁殖のため中国へ渡り、生まれた国に戻っていない。コロナ禍前は2~4歳で行くケースが多かった。

母子3頭(中央の木の上に1頭いる)。オーストリアで生まれた双子のフーフェン(福鳳)とフーバン(福伴)は、2歳の2018年12月に中国へ移住した(写真:2018年1月筆者撮影)

例外は、アドベンチャーワールドで生まれた良浜。母親の梅梅が同園で死亡し、永明は義理の父親という特殊事情があって、良浜は永明のパートナーとなり、21歳の現在も日本で暮らす。

世界のパンダの数は、野生で1864頭(中国の2015年発表時点)、飼育下で600頭以上に増えた。

そのため「もう繁殖のために子パンダが中国へ行く必要はない」という意見は、世界中のSNSなどで目にする。ただ、パンダはまだ絶滅の危機に瀕している。しかもシャンシャンは、リーリーとシンシンの間で初めて無事に生まれ育った子ども。血統の面で多様性を維持するため、繁殖が特に望まれている可能性がある。

「シャンシャンにお婿さんが来て、ずっと日本にいればいいのに」というファンの声もある。この件は今後どうなるか、筆者には分からない。上野動物園で2008年に死んだリンリン(陵陵)と、今もメキシコで暮らすシュアンシュアンは両国を行き来して繁殖に努めたが、この2頭は中国に所有権がないのでシャンシャンと事情が異なる。

中国国外の動物園が協力して、中国に所有権があるパンダで繁殖を試みた例では、サンディエゴ動物園(アメリカ)にいたガオガオ(高高)の精液を使い、スミソニアン国立動物園(アメリカ)にいるメイシャン(美香)に人工授精をしたことがある。

ほかの国のパンダも中国に行ってない

シャンシャンに限らず、中国国外で生まれたほかのパンダたちも、コロナ禍が明らかになった2020年1月以降、中国に返還されていない(表参照)。

ドイツのベルリン動物園は、2019年8月生まれの双子のモンシャン(夢想)とモンユアン(夢圓)について「おそらく来年には中国へ移ります。日にちはまだ決まっていません。すでに中国のパンダの専門家と話し合い、中国への移動を準備しています」と2021年11月11日に発表した。

中国生まれのパンダなら、2020年1月以降に中国渡航を果たした例が1件だけある。2020年11月末にカナダのカルガリー動物園から中国の重慶動物園へ渡ったアルシュン(二順)とダーマオ(大毛)だ。

理由は繁殖ではなく、コロナ禍で主食の竹を中国から輸入できなくなったため。カルガリー動物園は、2頭の輸送に要した書類の山の写真をツイッターに投稿した。コロナ禍でのパンダの国外輸送が、いかに大変かが分かる。

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