国内工場新設に500億円、ファナックの成算 推定100億円、栃木県南部の産業用地を購入
工作機械などに組み込まれるNC(数値制御)装置で5割超の世界シェアを誇るファナック。栃木の用地に新設する工場には、そのNC装置1万台と関連するサーボモーター5万台(いずれも月産)の生産能力を持たせる。これが完成すれば、現在両製品を生産する山梨県忍野村の本社工場が持つ能力と併せて、主力製品の生産能力は従来より1.4倍に拡大する。工場の稼働は2016年秋の予定だ。
昨年10月、実質創業者の稲葉清右衛門名誉会長が経営の第一線から退いた後、息子の善治社長がNC装置を含むFA事業の本部長を兼任した。
NC装置はファナックの祖業であり、連結営業利益率40%以上という高収益の源泉だ。善治社長はこれをさらに伸ばすため、社内でもハッパをかけている。あるファナック社員は「(名誉会長が退いてから)顧客を開拓したり、シェアを高めるため、新しいことをやっていこうという雰囲気は以前に増してある」と話す。
中国市場は拡大必至
2013年度のFA事業の最大の販売先はアジア。中でもウェートが高いのが中国だ。同国で販売されている工作機械へのNC装置搭載比率は13年で約35%(米調査会社ガードナー調べ)。一方で日本はほぼ100%。見方を変えれば、それだけNC装置の販売を増やす余地はある。自動車産業を筆頭に生産の自動化需要が高まり、中国でのNC工作機械の拡大は必至だ。
今回取得した土地は社屋と工場を併設する山梨本社の半分弱の広さ。筑波工場の2倍強、隼人工場の4倍強で、本社以外の工場では最大の広さを持つ用地となる。ファナック関係者は、「この用地を目いっぱい使えば、当然、(当初の能力よりも)もっと生産できる」と将来のさらなる増産余地を示唆する。
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