国内工場新設に500億円、ファナックの成算 推定100億円、栃木県南部の産業用地を購入

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富士山噴火リスクの回避も狙い?

富士山の麓にあるファナックの本社や研究所、工場(写真:ファナックホームページより)

一方、取引のある工作機械メーカーの中では、今回の投資を「リスク分散」と受け止める向きが多い。ファナックは富士山麓に本社と工場や研究所を構える。

そのため、有価証券報告書に事業等のリスクとして、「一極集中によるリスク」を挙げており、「地震、富士山噴火等の自然災害や、長時間にわたる停電などが発生した場合に、当社の開発、製造能力に対する影響を完全に防止または軽減できる保証はありません」と記している。

ある旋盤メーカー幹部は「ファナックのNC装置を使うメーカーの多くは、富士山噴火のリスクを考えている。今回の新工場建設は頼もしい」と話す。高いシェアゆえに、ファナックにのしかかる供給責任は大きく、有事への備えは当然求められるわけだ。

栃木の用地取得を受けて、「栃木への全面移転もありうるのではないか」(証券アナリスト)との声も聞かれたが、会社側は「山梨の本社、研究所、工場を移転する予定はない」(広報部)とキッパリ否定。それどころか、研究所に関しては「今後、拡充を検討している」という。国内工場の新設という大胆な投資をテコに、世界シェア拡大に向けてさらにアクセルを踏み込んでいることは間違いない。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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