「働き方劣化国家」日本が世界に取り残される理由 コロナ禍で必然的になった「ライフシフト人生」

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健康に生きることもその1つです。長く生きるのであれば、多くの人が、できるだけ健康でいたいと願うでしょう。100年生きるのに、60歳で病気になって、その後の40年、病気を抱えて生きたいと思う人はいないはずです。

健康のために何をすればよいかは、皆が知っていることです。

1つ目は運動をすること。2つ目は健康的な食事をすること。3つ目は1日8時間の睡眠をとることです。そしてもし、あなたが健康的かつ幸福に生きたいのならば、4つ目のポイントは「友人、家族、そしてコミュニティーに目を向けること」になります。

多くの人が、「通勤がないことでより健康的に過ごすことができる」ことに気づきました。近所を散歩したり、子どもと過ごす時間を増やしたり、運動したりする時間ができました。私は1日1万歩歩くことに挑戦しましたが、1時間かかります。健康であるためには、時間がかかるのです。

「長く働く」ではなく「賢く働く」

だからこそ私は、コロナ後について、希望を抱いています。なぜならこのパンデミックは、私たち全員に、働き方を考え直す機会を与えてくれたからです。

私は5月に刊行された『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌に書いた論文で、富士通の事例を紹介しました。富士通では、コロナ禍によるロックダウンの最初の1週間で、6万人の社員がオフィスから自宅勤務へと移行しました。

先日、担当者に確認したところ、富士通では今、職場を共同生活の場とするよう再設計しているとのことでした。同時に、社員が自宅に近い職場で働けるような機会の提供も行っています。言い換えれば、私たちは今、働き方を再構築する機会を与えられたということです。

これは日本において、非常に重要な事例でしょう。なぜなら、一般的に言って、日本は働く環境の柔軟性という点においては、ほかの先進国に後れを取っているからです。いうまでもなく、これは働く女性、子育て中の女性にとって大きな不利益となっています。

今こそ、「どこで働くのか」を柔軟に選べる生き方を模索するための真の機会と言えるのではないでしょうか。家で働くのか、オフィスで働くのか、そして「いつ働くのか」を選ぶということです。

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