「働き方劣化国家」日本が世界に取り残される理由 コロナ禍で必然的になった「ライフシフト人生」

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もちろん、私たちの生き方を形作るのは、オートメーションや人口動態だけではありません。家族の形という点もあります。今、この点でも、世界的に変化が起きています。

リンダ・グラットン(Lynda Gratton)/ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授。世界で最も権威ある経営思想家ランキングであるThinkers50では、世界のビジネス思想家トップ15にランクインしており、2018年には、安倍晋三元首相から「人生100年時代構想会議」のメンバーに任命された。著作である『ワーク・シフト』や『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』は日本でベストセラーとなっている(写真:著者提供)。同氏が登壇した「柏の葉イノベーションフェス2021」オープニングトークの様子はこちらから。

例えば私の家族もそうでしたが、1950年代には、父は仕事を持ち、母は家族の面倒を見る役割を担っていました(キャリア+ケアラーの組み合わせ)。その後、1970年代には女性も働くようになります(キャリア+ジョブ)。しかし多くの女性は、子どもができると労働市場から去っていました。

現在では、日本でも、多くの家庭で父親も母親も働くようになっています(キャリア+キャリアの組み合わせ)。共働きは、働き方の柔軟性の重要度を高め、コミュニティーの力学を大きく変化させるでしょう。そうした中で、私たちは1人ひとりが「どのように生きたいか」を模索する必要があります。

「どのように生きたいか」とは、どういうことなのでしょうか。私からの提案として、2つのことをお話ししたいと思います。

1つ目は、長生きするということは、「生き方を変えられる可能性が大きい」ということです。私たちは皆、「ありうる自己像」を持っています。スキルやコネクション、友人や価値観など、私たちは自分のそれぞれのライフステージに応じて、自分なりのプラットホームを持ちます。

長く生きるとは、そこから抜け出し、何にでもなることができるということです。

新しい生き方、働き方に踏み出す社会的開拓者は、このように考えます。「人は人生のどのステージにあっても新しい生き方を模索することができる。伝統的な生き方に従う必要はない。さまざまなストーリー、自分の物語の可能性を手にしていいのだ」と。

長く生きるようになると、これまでのような「フルタイムの教育」「フルタイムの仕事」「フルタイムの引退」という直線的な3つのステージを生きることは不可能になる部分もあります。例えば100歳まで生きるとしたら、65歳で引退、ではなく、70~80歳まで働くことになるでしょう。

都市は変化の機会にあふれている

とてもできない、と思うかもしれません。ですが、今の日本で一般的となってきている働き方を見ると、これまでのやり方に変わる新しい働き方、新しい生き方を見つけていく必要があると思います。それにも、都市の役割が大きいと思います。

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