「働き方劣化国家」日本が世界に取り残される理由 コロナ禍で必然的になった「ライフシフト人生」

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テクノロジーが進化する時代、長寿の時代には、人は生涯、学び続ける必要があります。大学の卒業をもって学びを終えるのではなく、人生の最後まで学び続ける必要があるとき、私たちはそれを手助けしてくれる会社を求めます。

正しい目的を持ち、所属したいと思えるようなコミュニティーがあり、さらに従業員の人生をサポートできるような要素が、会社と個人を融合するための核心と言えるでしょう。

ひとりの「大人」として進むべき道を選択しよう

私はアンドリュー・スコットとの共著で『ライフ・シフト2』という本を出版しました。本書では、人々が新しい生き方・働き方に踏み出すために、政府や企業がどのような支援をしていく必要があるのかを取り上げています。

前作の『ライフ・シフト』を読んだ日本の読者から、「それはつまりどうすればよいのか」という声が聞かれました。『ライフ・シフト2』はそれについて答えるものです。政府や企業がどのように人々をサポートすべきかに加え、本書で私たちが最も伝えたいメッセージは、「自分自身の選択を始めよう」ということです。

私たちは、「会社は親で、私たちは子ども」という考え方から、「どちらも大人」という考え方に変わらなければいけません。従業員も大人で、会社も大人。私たちはもっと自分たちで進むべき道を選択するべきであり、また自分の人生について責任を持つ必要があるということです。

これまでお話ししたとおり、生き方にはたくさん選択肢があります。私たちはこれらの選択肢を自分自身で探索しなければならないのです。

(構成:笹幸恵)

リンダ・グラットン ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授

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Lynda Gratton

ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授。世界をリードする「働き方の未来」の専門家。全世界で最も権威ある経営思想家ランキングである「Thinkers50」では、トップ15にランクインしており、2018年には安倍晋三元首相から「人生100年時代構想会議」のメンバーに任命された。著作である『ワーク・シフト』『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』シリーズ(アンドリュー・スコットとの共著)は日本で大ベストセラーに。長寿社会におけるキャリア構築の考え方――「人生100年時代」というキーワードをつくり出した中心人物である。

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