山下智久が俳優として感じた「海外と日本の差」

拠点を広げてわかった「日本作品のこれから」

――近年は、世界中で韓国映画やドラマの躍進が目立っています。

やっぱり韓国映画はすごく面白い。あちらには数十年前から「ワールドワイドに発信していこう」という流れがありました。僕が韓国に初めていった小学生のときも、着ている洋服にアメリカを感じました。街中で英語のヒップホップが流れるカルチャーを感じたんです。当時の日本では見られない光景でした。

日本は島国だし、海外に作品を売らなくても成り立っていた時期があったんだと思います。韓国は真逆で、早くから自国のエンタメを海外に輸出しようという気運がありました。それが近年は、より加速したのかなと思います。韓国の友達もいますが、学ぶところがたくさんあり、自分も勉強させてもらっています。

今後は日本のカルチャーも、日本人としてのアイデンティティも大事にしたうえで、多様な考え方を吸収していくことが仕事にも人生にも必要だと思っています。

「幸せの基準」は海外にいても変わらない

――11月25日には初の写真集『CIRCLE』が発売されます。どんなメッセージ性を持って取り組んだのでしょうか。

写真:©Maciej Kucia、講談社

恥ずかしい気持ちもありました。でも、今の自分を残してもらえる貴重な機会だったので、食事制限とトレーニングを積んだうえで撮影に挑みました。

撮影は荒々しい大自然の中で行いました。「100年後に残るタイムレスな表現」を追い求めたから、タイトルは『CIRCLE』にしたんです。雨が降り、大地から植物が育ち、自然が循環する中で僕らは生きている。それを表現できたら、今生きていることを感謝する気持ちも生まれるだろうし、自分の仕事も誰かの背中を押すCIRCLEの一部になれる。そんな思いが込められています。

――完成した写真集をご覧になった感想はどうでしたか。

裏テーマで「対比」を意識しています。朝と夜、月と太陽、火や水など世界は正反対のもので成り立っている。それが感じられるよう写真はコントラストを意識しつつ、自然のエネルギーや感情も取り入れています。時間を経ても、見るたびに違う感覚や表情を感じてもらえる作品になったら嬉しいです。

――様々な挑戦をしていく過程で、幸せの基準が変化したと感じることはありますか?

写真:©Maciej Kucia、講談社

どんな時も人に迷惑をかけちゃいけないという気持ちがあります。それ以外だと、人生をしっかり楽しむこと。自分が喜ぶことや、休まる方法、興奮する瞬間を大切にする。海を見る時間も好きなので、絶対に確保したい。

そうした時間があるから、仕事も頑張れます。だから、バランスが大事かな。ここ数年は忙しい日々が続いたので、来年はインプットや勉強のための時間が取れるように環境を整えていきたいですね。

――個人的な使命感はあったりしますか? 自分に課せられている役割などは。

特に考えたことはありません。応援してくれている方々との強いつながりを感じます。僕を応援していると楽しいな、新しい刺激をもらえたなと思ってくれる人がいてくれるだけで嬉しいです。でもそのためにはどんどん冒険しないといけない。

僕が先頭を切るコーディネーターで、僕についていけば、見たこともない景色や面白いものが見られるみたいな感じです。

写真:©Maciej Kucia、講談社

――最後の質問になります。海外に挑戦しようとしている次世代に向けて、エールやアドバイスを贈るとしたら?

違うものや知らないものって怖いと思うけど、相手は同じ人間なんだからフェアに行けばいいと思います。同時に「僕はこう思うよ」と意見をしっかり相手に伝えることも大事ですよね。

どっちが偉いとか、偉くないとかでもない。正直な気持ちを伝えるし、楽しいのか、嬉しいのか、悲しいのか、苦しいのか、やりたいのか。そんな感情を自分で整理しながら、相手の正直な気持ちも聞く。

写真:©HIGH HOPE ENTERTAINMENT

リアルなコミュニケーションができれば、きっと異国の相手でも深いつながりを感じられます。だから、「海外に出たい」という正直な気持ちを大切にしていれば、必ず道は開けると思います。

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