「マスクの隙間からストロー」女性が冷めた瞬間 リトマス試験紙のような役割を果たしたコロナ

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よしたかも、このまま関係を進めていっていいのか、疑問を感じていたという。ただ、お見合いで真剣交際までたどり着けたのは初めてのことだったし、それを終了にして、またゼロから婚活をすることを考えると、その体力もなく、気力もわかなかった。

次にいつ真剣交際にたどり着き、結婚まで進める女性が現れるかは、わからないからだ。

婚活において男性は、女性に食事をご馳走したり、車を出したり、デート費用を負担したりと、お金も使っている。交際に違和感があっても、費やしてきたお金と時間を考えると、交際を終了に踏み切れない男性は意外と多い。

結婚相談所には、“男女の関係になったら成婚とみなす“という規約がある。これは、相談所を男女の遊び場にしないために設けられている、ヤリモク防止策だ。しかし、手をつないだり、ハグをしたりする “触れ合い“は大切なことだと、私はいつも会員に伝えている。それを拒否するような相手とは、結婚したところでうまくいかない。

また、“生理的に合う“、“生理的に合わない“という言葉があるが、これは理屈ではなく相手に触れ合ったときに、お互いがそれを愛おしいと感じるか、幸せに感じるかでわかると思う。初めて手を握られたときに違和感を覚えたら、その相手とは生理的に合わないのだ。

マスク越しの声「飛沫が飛ぶ」とダメ出し

ゆきえ(33歳、仮名)は、ともや(38歳、仮名)とお見合い後に、こんな連絡を入れてきた。

「今日の方は、話がすごくおもしろかったし、大学時代は夏休みに、バックパッカーで世界中を旅していたんですって。すごくおおらかそうな人だし、ぜひ交際希望でお願いします」

声が弾んでいた。実は、ともやの前にお見合いした男性がコロナにとても敏感だった。

会ったときからマスクを一度も外さず、注文したアイスコーヒーもマスクを指でつまんで隙間を作り、そこからストローを差し込んで飲んでいたという。そのお見合いを終えたときに、ゆきえはお断りの連絡を入れながら、こんなことを言った。

「あんなにコロナに神経質な対応を取るなら、お見合いもオンラインですればよかったのに。なぜ、わざわざ対面のお見合いを希望してきたのかが謎です。私の声の大きさも注意されました。『マスクをしていても大きな声を出すと飛沫が飛びますから、もっとボリュームを落として話してください』って」

そんなお見合いを経験したあとだったので、おおらかなともやが余計に魅力的に映ったのだろう。

ところが、二度目のデートを終えたところで、ゆきえは“交際終了“の連絡を入れてきた。その理由がこうだった。

「最初のデートのときから、食事のマナーが気になっていたんです。ランチに、リーズナブルな値段で食べられるカジュアルフレンチのお店に行ったんですね。コースなので、スープ、前菜、メインとお店の人がサーブしてくれる。コースの場合、お店の人が下げてくださるまで、空いたお皿はそのまま置いておくじゃないですか。ところが、彼は料理を食べ終えると、お皿をテーブルの横に出すんですよ。“ファミレスや居酒屋じゃあるまいし“と思って、ちょっと恥ずかしくなりました」

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