「たけしさんとは交際終了にしてください。お会いして外で食事をしていると、感染するリスクも上がります。身近な人がコロナになって、このウイルスの恐ろしさを実感するようになりました」
そして、1週間後に休会したいという連絡が入った。
「コロナが落ち着くまで、婚活はお休みしようと思います。相談所のサイトで出会った人たちが普段はどんな生活をしているかもわかりませんし、ウイルス対策を万全にしている人と、そうでない人がいると思います。婚活をすること自体にリスクを感じるようになりました」
さらに1週間後には、退会したいという連絡が来た。
「私の人生は、コロナによって大きく変わってしまいました。先日休会を申し入れましたが、もう婚活をしていく気力が湧かなくなりました」
もともとが物事に敏感な性格だったのだろう。同僚に感染者が出たことで、さらに過敏に反応するようになってしまった。
コロナを理由に手を握るのを拒まれて…
コロナの受け止め方は人それぞれだ。感染者数が日々増えていく報道がなされていたなか、交際中の相手がまったく会おうとしなくなる事例は、あきえだけではなかった。会わなくなれば“交際終了“になるのが、婚活のつねだ。コロナのために交際が結婚まで進まなかったカップルは、多い。
よしたか(41歳、仮名)は、みよこ(35歳、仮名)とお見合い後に交際に入った。その後の交際は順調で、2カ月後には真剣交際に入った。このまま順調に結婚にたどりつくのかと思っていたのだが、真剣交際に入って1カ月経ったときに、よしたかから“交際終了“の連絡が入ってきた。
「昨日、みよこさんとお会いして話し合ったのですが、交際終了をすることになりました」
みよこから、「あなたとは暮らしていく価値観が合わない」と言われたそうだ。
「これまで外でデートをしているときに僕が手をつなごうとすると、『恥ずかしいから』と言って手を引っ込めていました。昨日はドライブデートをしたので、別れ際に車の中ならいいんじゃないかと思って手を握ったら、思いっきり拒否されまして……」
みよこが、険しい顔でこう言った。
「コロナ禍で、さっきまで外を歩いてきて手を消毒していないのに、信じられない。これまで、『恥ずかしいから』といって誤魔化してきたけれど、消毒していない手で私に触れようとするのが嫌だったんです。コロナに対する意識が、よしたかさんは低すぎます」
そして、「生きていく価値観が違う。こんな男性とは結婚は考えられない」というのがみよこの出した結論だった。
私は、これを聞いて、よしたかに言った。
「そうですね。確かに価値観が違うかもしれません。でも、みよこさんとは結婚まで辿り着かなくて正解だったのでは? こまめに手を消毒したり、体温チェックをしたり、部屋の換気をしたりと、コロナに感染しないように気をつけていくのは、大切なことです。ただ、おつきあいをしている相手が、手を握ろうとしたら、それを拒否する。それを感染対策がなされていないと思っている女性は、誰と結婚するのも難しいと思いますよ」
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