資産3億の個人投資家「トヨタは成長株」と思う訳 決算短信を分析すれば見えてくる企業の実力

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企業は設備投資や新規の人材採用など、新たに投資を行って成長します。大企業や成熟企業では、安定した営業CF基盤がありますので、投資CFは、営業CFのプラスを超えない範囲のマイナスが健全とされています。

この営業CFと投資CFを足したものが「フリーキャッシュフロー(FCF)」です。FCFがプラスなら、企業が生み出すキャッシュの範囲内で投資している状態になります。

しかしながら、成長途上にある成長企業では、まだ営業CFの稼ぐ力が十分ではないため、営業CFのプラスを超えて投資CFがマイナスになることもよくあります。

このような場合に、営業CFの不足分をどうカバーするかと言うと、上場直後や増資直後でキャッシュ残高が十分な場合は残高の減少で、そうでない場合は、増資や借り入れを通じた財務CFのプラスで補うことになります。

財務CFは小さめのマイナスになるのが普通だが…

■POINT④ 財務キャッシュフロー

財務CFは借り入れた資金に対する利払いや株主配当支出で、小さめのマイナスになるのが普通です。ただし、増資や新規借り入れなどによる資金調達があったときは大きなプラスとなります。プラスの場合はどのような資金調達をしたのか確認します。

ただし、成長企業の場合、とくに高成長期の企業では、配当支出として財務CFで株主に還元するより、投資CFへの割り当てを重視する傾向があります。そのため、投資CFのマイナスを借入金で補充するなど、財務CFがプラスのケースが多くなります。

とくに新興企業で赤字経営が続いているような会社では、営業CFがマイナスでも、先行投資で投資CFもマイナスとなり、キャッシュが急速に流出します。上場直後は、資金も潤沢で問題ありませんが、キャッシュ残高が減少してくると、資金調達(財務CF のプラス)で補う必要があります。

しかし、赤字会社の資金調達は厳しく、増資の可能性も出てくるので、注意が必要です。

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