見えてきた、中国と北朝鮮の「本当の関係」 中国から北朝鮮への「原油輸出ゼロ論争」決着へ

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韓国のある中国ウオッチャーは、「北京から聞こえてくる“北朝鮮いじめ”は、実のところは平壌が暴走したら中国は言うべきことを言う、というジェスチャーに近い」と指摘する。

日本との「関係改善」も、「冷静な計算」か

中国は、2006年の北朝鮮初の核実験後、国際的な北朝鮮への圧力姿勢を気にして対北朝鮮投資を減らしてきた。だが、2009年に故・金正日総書記の健康悪化が伝えられた後、北朝鮮体制の弱化を憂慮した中国は、かえって投資を増やしてきた。その流れは、現在にも続いている。

最近になって日朝関係が好転の兆しを見えているが、これは中国などとの関係が悪化したからという単純な見方ではなく、中国のカネも必要だが日本のカネも必要だという北朝鮮側の慎重な計算が働いているのでは、と『週刊東亜』は見ている。

「経済強国」という大きな目標を掲げ、国民の生活向上を公約にしている金正恩第1書記は、そのために必要な資金をいくら用意すればよいのかを冷静に計算しているのではないか。

そのためには、既存の中国からの資金だけでは足りず、日本との関係を改善してでも資金を確保すべきという計算が働いたのかもしれない。

同時に、国内ではさまざまな市民向け施設や工場、企業所、協同農場などを視察し、サービスを向上し、生産や効率性を上げよと叱咤激励する。そうすることで、「経済強国」建設に向けた資金を、あらゆる資源を動員してでも用意したいという金正恩政権の思惑が浮かんでくる。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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