規制の失敗が生んだ“原油流出”という悲劇--ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

メキシコ湾にあるBPの海底油田から、何百万ガロンという原油が流出している。当面の課題は環境破壊をいかに緩和するかだ。私たちにできるのは、流出が止まり、最悪のシナリオが現実にならないことを願うことだけである。

この災害は「複雑な技術をどのように規制すべきか」という深刻な課題を突き付けている。加速する革新のスピードが政府の能力を凌駕しており、政府は革新に伴うリスクにうまく対応できていない。

原油流出と最近の金融危機の間に大きな類似が見られる。それはイノベーションへの期待と、計り知れないほどの複雑さと、透明性の欠如だ。

資金力と政治力があるロビイストは政府に大きな圧力をかけている。オバマ大統領が当惑したのは、原油流出事件以前に共和党からの圧力を受けて、「海底原油の採掘を大幅に拡大する」という提案を行っていたからである。

複雑な金融商品の開発と同じように、原油採掘の技術開発は抗しがたく、また魅力的である。石油会社の経営者たちは、「数百キロメートルメートルの地下深くまで掘り進み、さらに横に100キロメートル掘り、目標地点の数メートル内に到達できる」と語っていた。

原油が枯渇する“ピークオイル”の到来を回避し、次世代のために原油を供給できる見通しがついていたのである。さらに、いくつかの発展途上国、特にブラジルは、巨大な海底油田を発見した。

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 本当に強い大学
  • 西村直人の乗り物見聞録
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
ANAが希望退職実施へ<br>雇用維持貫くJALとの差

ANAホールディングス傘下の全日本空輸は10月7日、退職金の割り増しによる希望退職の募集を労働組合に打診。一方の日本航空(JAL)は同日に開かれた定例会見で、人員削減の考えはないと明言。両社で対応が分かれた要因とは。

東洋経済education×ICT