このように、立憲民主党が「叱責」を繰り返したのに対し、維新がとったのが「実績」のアピールでした。
「これまで給食はなかった。給食制度を作り、温かい給食にし、今は無償化した」
「私立高校の授業料を無償化した。シングルマザーの人に『子どもが私学に行けることができるようになった』と声をかけられ、嬉しかった」
「地下鉄を民営化して、駅もきれいになりましたよね」
「大阪城公園、どう変わりました? 10~15年前、女性一人で入りにくい公園でした。今はおしゃれな空間に。大阪がパリみたいになっちゃってる」
吉村氏は、このように「具体的な実績」を事細かに、並べ立てたのです。これは非常に説得力がありました。
「自己満足・陶酔」型か「自己犠牲」型か
立憲と維新のレトリックの大きな違いが、「自己満足・陶酔」型か「自己犠牲」型かというところです。
立憲の場合、政権奪取を声高にうたい、共産党と手を組むことにしたわけですが、有権者の目からすると、「政権を取ること」が目的化してしまい、彼らが自身の権力欲を見満たすため、「自己満足」のために、政権をとろうとしているように見えてしまったように感じます。それによって、「我々にどんなメリットがあるのか」「いったい何を成し遂げたいのか」が伝わりませんでした。
自民党批判ばかりが目立ってしまったため、「自分たちは常に正しい」といった独善的な印象は免れず、共感は広がらなかったのです。一方で、維新が打ち出したのは徹底した「自己犠牲」アピールでした。
「報酬は、知事は3割、市長は4割カット。でも困りません」
「国会議員どうですか? ぬるま湯につかってますね。冬のボーナスもらった人がいる」
などと、「いかに自分たちがその利益を犠牲にして、奉仕しているか」を言葉巧みに伝えました。
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