言語学で集客しまくるYouTubeチャンネルの正体 登録8万人超「ゆる言語学ラジオ」は何が面白い?

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まず、言語学を解説する立場の水野さんは、いつ言葉に興味を持ったのだろうか?

水野「小学校低学年の頃には言葉に対する関心が強かったですね。

『難しい漢字が知りたい!!』

という欲求があって、難読漢字本みたいなのを収集してました。買えるものは全部買ってもらってましたね」

水野さんが小学校5年生のときに、麻生太郎元総理が漢字の読み間違いが多いことが話題になった。例えば、「破綻(はたん)」を「はじょう」、「未曾有(みぞう)」を「みぞうゆう」と読んだのだ。

水野「それから漢字ブームが来たんですが、そのときに売れた本を僕はすでに読み終わっていて、

『やっと時代が追いついたか』

と思いました」

中学時代は、陰謀論や都市伝説にハマったりしつつも、高校時代には英単語の語源や英文法にハマった。

自分は言語に関心が強いと自覚して、名古屋大学の文学部に進学した。メディアにも多く出演する言語学者の町田健さんなどが在籍する、言語学研究室に入った。

水野「ただ、大学時代は真面目じゃなかったですね。授業もいい加減にうけて、サボって皆でカラオケに行くような、いわゆる無の大学生でした。今考えたらもったいないですね。研究室の先生に言語学のコンテンツをやってると言ったら、

『なんでお前が?』

ってたしなめられてしまうと思います。

ただ、当時から雑学は大好きだったんですよね。大学時代は将来、英語の塾講師になろうと思っていたんです。

授業中の雑談、こぼれ話が面白い先生になりたかったんで、本を読んで面白いと思った部分をメモしていました。そういうネタ帳が膨大な量になりました。その大量のネタが、むしろ今のラジオに生きていると思います」

辞書を通読

水野さんは、番組を作るためにかなりたくさんの本を読んでいる。

とくに「辞書好き」を公言し、『数え方の辞典』『新明解 語源辞典』を通読して番組に挑んだ回は、堀元さんに驚かれている。

水野「今働いている出版社の入社試験のときに『辞書が好き』というのをアピールしたら、とてもよく伝わったんですね。『言葉が好きです』というより『辞書が好きです』と言ったほうが伝わりやすいなと感じました。

こぼれ話や雑談などをメモした大量のネタが、今のラジオに生きている(写真:筆者撮影)

ただ、少し話を盛っていて、今までに通読した辞典は小学生向けの『漢和辞典』『国語辞典』『ことわざ辞典』くらいだったんです。辞書が好きなのは確かなんですが、大人向けの辞書を通読した経験はなかったんです。このままではうそつきになってしまうと思い、現在『新明解語源辞典』と『新明解国語辞典』を通読しています。

最近は辞書を読んで面白かったページをノートに書き写しているのですが、そのメモがまた膨大な量になってきています。『ゆる言語学ラジオ』のネタになればいいなと思いながら、メモを取っています」

次ページ水野さんと堀元さんの出会い
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