「中国規格」でラオス直結、国際鉄道は成功するか 発展招くか、「人民元経済」に取り込まれるか
国際的プレゼンスの拡大に余念がない中国は、さまざまな国際輸送ルートを確保しようとしている。歴史的に社会主義国との連携が強い中国はロシア、モンゴル、北朝鮮への国際鉄道ルートを持っているが、これに加えて2011年には中国と欧州を結ぶ鉄道貨物輸送サービス「中欧班列」が運行を開始、今では主にカザフスタン経由のルートで年間1万本もの国際貨物列車が走っている。
今回の中国ラオス鉄道も、「中国とインドシナの小国間の鉄道リンク」と考えるのはいささか軽率で、ASEANでも経済規模が大きいタイへの直結をうかがうルートとして今後の動きを見るべきだろう。ビエンチャンはラオス・タイ国境の目と鼻の先に位置する街だ。
タイ国鉄は、同国東部のノンカイとラオス側のタナレーン駅(ビエンチャン近郊)間のわずか5kmを走る短距離の国際列車を運行している。今でこそ、ラオス―タイ間は旅客列車しか走っていないが、メーターゲージ(軌間1m)の線路はタナレーンからタイ、マレーシアを通ってシンガポールまで繋がっている。ノンカイに住む日本人男性は「中国からの貨物をラオスまで運び、タナレーンでタイ行き貨車に載せ替えてASEAN各国に運べるようになるポテンシャルは大きい」と語る。
ラオス国旗色の中国製電車
中国ラオス鉄道の運行に当たり、車両は中国が開発した電車「CR200J」が2編成導入された。動力車1両と客車8両を連結した構造で定員は720人。中国国内で走るCR200J「復興号」は強めの緑色に塗装されているが、ラオス向けは白を基調に同国の国旗に使われる赤と青のラインが入っている。
編成にはそれぞれ愛称が付けられ、1編成目は中国語でメコン川、あるいはラオスの古代での呼び名を表す「瀾滄号」、2編成目はラオスの管楽器の名をそのまま取って「老挝(ラオスの意味)芦笙号」と呼ばれる。
現時点で中国ラオス鉄道の運行予定は具体的に発表されていないが、列車が昆明からビエンチャンまで直行するとしたら、全長1000kmを表定速度120km前後で走ったとして、全線の所要時間は8時間強といったところだろうか。
ただ、両国ともにコロナ対策で厳しい国境管理を行っているため、本格的な運行はまだ先になりそうだ。むしろ、中国区間の途中にある西双版納(シーサンパンナ)傣族自治州が中国きっての観光都市の一つであることから、当面は中国国内旅客の観光需要が主体となる可能性が高い。
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