ディズニーが赤字でも「強気の値上げ」に傾くわけ 苦境の経営陣がコロナ後に見据える戦略の転換

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下期計画の前提は以下のようなものだ。入園者数は前年同期比172万人増の660万人。11月までは各パークでの上限を1万人とし、12月から状況を見て引き上げる。業界団体のガイドラインはソーシャルディスタンスについて「1メートル以上確保することが望ましい」としており、これがネックだ。

アトラクションの待機列やショップはどうしても密になりやすいため、慎重な引き上げとなる。ファンにとっては厳しいチケット争奪戦が当面続くことになりそうだ。

イベントも徐々に平常化させる。名物である夜のパレードを11月から再開した。ディズニーホテルに泊まるゲスト向けに午前8時からシーに入園できる「アーリーエントリーチケット」も販売を再開する。

そのほか、コスト削減を継続しつつも、入園者数の増加に合わせて「ゲストの満足や売り上げ増加につながる費用は投下していく」(吉田謙次社長)考えだ。

今後も値上げは続く?

重点施策のデジタル戦略も一段と進む。現在、フードは各施設に並んで注文するが、スマホで注文できる「モバイルオーダー」を実験済みで、相応の効果が得られたため本格導入する。待ち時間の解消に加え、人員配置も効率化できるという。同時に全体的な業務システムの効率化も進める。

厳しい決算は予想されたとおりだが、サプライズもあった。電話説明会における吉田社長のコメントだ。

「持続的な成長を実現するために、入園者数と単価のバランスについて検討を進めている。(中略)入園者数に比重を置いた収益構造から転換する可能性も含め、議論をしている」。これは一段と高付加価値路線に舵を切る宣言とも受け取れる。

オリエンタルランドは幾度も1デーパスポートを値上げし、「強気の値上げ」と指摘されてきた。10月にも価格帯の幅を広げ、最大9400円と700円の値上げを実施したばかりだ。

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