自分より「三高」の結婚相手を目指した彼女の結末 「万馬券」のようなお相手の見つけ方

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派遣社員を経て、メーカーの正社員となった真美さん。安心で快適な実家暮らしで、社会人のアウトドアサークルにも入って友だちにも恵まれた。

「スノボ、キャンプ、山登り。みんなでいろいろやりました。1人で海外旅行をする気楽さも覚えて、そのお金を得るために働いていたようなものです。寂しさは感じませんでした」

32歳の転機

転機は32歳のときに訪れる。4歳年下の妹が大手の結婚相談所を使って「理想の人」と結婚し、「お姉ちゃんも絶対に婚活したほうがいい」と強く言われたのだ。

「その頃、テレビか雑誌で『35歳を超えた未婚女性が結婚できる確率は2%しかない』というニュースを見たんです。ならば望みがあるうちに1回は結婚したいと思いました」

そして真美さんも結婚情報サービス会社に登録。アメリカ仕込みの恋愛感情を持てることに加えて、日本的な「三高」を相手の男性に求めた。具体的には、身長170センチ、短大卒で年収400万円である自分よりも「上」であることだ。

バブル経済期の三高に比べると慎ましい設定だと思う。しかし、この条件をクリアしてなおかつ大人の立ち振る舞いができる「普通の30代40代男性」は婚活の場では希少価値で人気が殺到する。実際、42歳で真美さんと同じ結婚情報サービスに登録した伸一さんはわずか2カ月で真美さんと出会い、半年後には成婚退会を決めた。

「僕は真美と同じ身長なので条件ギリギリですけどね」

やや自虐気味に話す伸一さんには余裕のようなものが漂う。東北地方の大学院を卒業してからは環境関連の会社に入社し、エンジニアとしてのキャリアを積んできた。いわゆる理系男子だ。

「長く関西にいました。会社の人に紹介されて入った社会人サークルが楽しかったです。山登りやバーベキューなど、いつも仲間と遊んでいましたね」

なんだか真美さんと同じような独身生活である。伸一さんには同い年の恋人もいたが、5年間の交際の中で結婚願望はお互いに薄れていったという。

「30代半ばから付き合い始めたので、『いずれ結婚するのかな』とは思っていました。仲も悪くなかったですよ。毎週会っていたので。でも、付き合ってから2、3年経つうちに前に進む気持ちがなくなりました。相手も同じだったと思います」

他人事のように客観的に話す伸一さん。付き合いやすいけれど、こだわりや安定志向は薄い男性なのかもしれない。

次ページそんな伸一さんの心境に変化が…
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