Foxconn製EVがi-Phoneのように普及しない理由 ホンハイEV発表で見えた「台湾EV戦略」の是非
これで一気に、EV(電気自動車)が世界中に広まっていくのか?
台湾の鴻海テクノロジーグループ(ホンハイ:英語表記はFoxconn)が2021年10月18日、最新技術を発表する自社イベント「ホンハイ テックデー2021(HHTD21)」の中で、3台のEVコンセプトモデルを世界初公開した。
このニュースを聞いて、EV普及が本格化すると考える人も少なくないのではないだろうか。発表された内容から、ホンハイの意気込みがうかがえたからだ。果たして、本当にそうなるのだろうか。
今回、ホンハイが発表したのは、「モデルC」「モデルE」「モデルT」の3台。
「モデルC」は全長4.6mのSUVで、空気抵抗係数0.27と空力特性を重視した外観デザインが特徴だ。搭載するモーター出力やバッテリーの電気容量などは未公開だが、停止状態から時速100kmまでの加速(0-100km/h加速)は3.8秒と俊足で、満充電での航続距離は700kmだという。
「モデルE」は、フェラーリのデザインなどを手掛けるイタリアのカロッツェリア(デザイン開発企業)、ピニンファリーナも開発に参画したセダンタイプだ。最大出力750馬力で、0-100km/h加速はさらに速い2.8秒。満充電での航続距離は750㎞である。「モデルT」は、EVバスとして公開された。
こうした「モデル〇」という名称のEVといえば、アメリカ・テスラの「モデルS/X/3/Y」が思い浮かぶが、ホンハイはテスラとの関係については何も触れていない。
今回の発表を受けて、多くの人が「ホンハイEVがEVのゲームチェンジャーになるかもれない」と考える理由は、ホンハイがアメリカ・アップルからi-Phone等の委託生産を請け負うEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)業界の世界最大手であるからだ。
これまで噂が絶えなかったアップルEVの正体がホンハイEVではないか、という見方が当然出てくるが、ホンハイは現時点でアップルEVについてはノーコメントだ。
台湾の「新たなるEV戦略」
「ホンハイEVがEVのゲームチェンジャーになるのか」という考え方を検証するうえで、まずは台湾とEVとの関係について紹介しておきたい。
日本の経済産業省に相当する台湾の経済部工業局は、2010年4月に総予算3億米ドル(当時レートで約234億円)の「台湾EV政策」を公開している。
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