いつもの薬「もらうだけ通院」は日本で減らせるか 繰り返し使える「処方せん」の実現可能性
また、2021年6月8日、健康保険組合連合会は「骨太の方針に対する要望」を発表し「慢性疾患等、病状の安定した患者には、かかりつけ医とかかりつけ薬剤師の連携のもとに、リフィル処方(一定期間内の処方箋の反復使用)を解禁すべき」と述べています(出典)
海外ではどうなのか?
そんなリフィル処方は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、フランス等多くの国で導入されています(出典)。
例えばアメリカでは有効期間内である限り、薬剤師の裁量で医師が指定する回数だけ再調剤が行われています。また、メールでのオーダーにより、工場で機械的に調剤された医薬品をリアル店舗を介さず、配送で受け取る運用がされていたりします。
メールオーダーだからと言って処方せんがいらないわけではなく、電子処方せんを送って登録して利用するという運用で、慢性疾患やリスクの低い疾患に限定的に展開されています。
急性のすぐに必要な薬を受け取るのに適しているわけではありません。国をまたげば、慢性疾患で症状が安定している方が、1年分程度のリフィル処方せんを受け取り、受診を挟まずに数カ月程度ずつ薬をもらうという光景は一般的です。街の調剤薬局で直接受け取れるというアクセスのよさが活かされています。
では、日本ではどうでしょうか。リフィル処方に対比される概念として「分割調剤」という仕組みがあります。これは、長期間にわたる処方箋の日数を分割して受け取ることができるものです。
この仕組みは2016年に導入され、複数回に分けて薬局で薬を受け取るという意味では動線が似ています。ただし、長く出ているものを分割して受け取るのと、繰り返し受け取ることができるでは事情が異なるので似て非なる制度です。
なぜ、1回で貰えば済むものを分割するのかといえば、理由はさまざまです。自宅で長期保管が難しい、一部だけ分けてジェネリック医薬品を試したい、ご自身で服薬の管理が難しく薬局でこまめなサポートが必要、といったケースなどがあります。
「分割調剤」の場合、1つの処方せんを受け付け、複数回にわたってその総量の全てが完了するまで調剤済みという扱いにならないため、薬局側で処方せんに必要事項を(多くは手書きで)記入したうえで患者さんに返却します。患者さんは次回またそれを持参します。この場合、初回と次に行く薬局が異なっても問題はありません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら