自宅の蔵から銃が出てきた彼女の壮絶すぎる体験 ペタペタ触り、たった半日、通報が遅れただけで
Nさんは偽物だと思っていじくっていたのだが、
「ひょっとしたら本物かもしれない」
と少し怖くなってきた。
「たまたま、私のいとこが刑事をしていたので、拳銃の写真を送って
『こんなの見つかったけど、どうすればいいかな?』
ってLINEしました」
ただ刑事の仕事は忙しいらしく、なかなか既読にならなかった。
LINEを送ったのは夕方だったが、返信は夜の21時くらいに来た。
「すぐにいちばん近い警察に通報しろ!!」
という内容だった。
「慌てて近くの警察署に電話をしたら、
『すぐに行きます!!』
と言われ、パトカーではない自動車2台がやってきました」
警官が押し寄せ、厳しい捜査に
私服の警察官と鑑識、7人ほどの人数がいっぺんに拳銃が置いてあった部屋に入ってきたため、室内はギュウギュウになっった。
鑑識は拳銃や弾丸や、それらが入っていた古いタンスを念入りに調べた。
Nさんは、拳銃を指差している写真を撮ったり、書類を書かされたりした。
想像していた以上に、厳しい捜査が展開されていく。
「事情を聞くときの刑事さんの目がすごい鋭いんですよね。そのときはじめて、
『あれ? 私、疑われてるのかな?』
って思いました」
鑑識の人が弾丸の箱を調べていると、そこから書類が出てきた。書類の日付は明治28年で『鉄砲賣渡證』と書かれていた。Nさんの、ひいひい爺さんが、横浜市本町で正式に購入した物だと判明した。
明治時代には銃規制はあったものの、許可さえとれば購入することができたのだ。
「証明書が出てきて正式に買った銃だってわかったので、やっと少し空気がなごみました」
ただ、その証明書には穴が空いていた。
それを調べた鑑識は
「ああ、拳銃で箱ごと撃ったみたいですね」
と言った。
箱に残された弾丸を見ると、確かに発射されて薬莢だけになっているものが数発あった。
どうやらひいひい爺さんが、遊びで撃ったらしい。
警察官は、
「また明日、伺っていいですか?」
と聞いてから帰っていった。
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