最後は、新型コロナワクチンについて。現在、12歳以上が接種の対象となっているが、それより小さい子には接種の必要はないのだろうか。
「ワクチンは、メリットとデメリットを比較して、メリットがデメリットを上回るときに打つもの。大人の場合は重症化しやすいため、接種のメリットが大きく、積極的に接種を考えてほしいと思います。一方、小児はそもそも家庭内で大人からうつるケースが多い。大人への接種を進めることが、結果的に子どもを守ることにつながると考えています」
小児への接種について
小児への接種についてはどうかというと、「高い予防効果が得られることが知られているので、接種する意義はあると考えられます。ただ、大人に比べると重症化するリスクが小さいため、接種にあたっては本人、保護者が接種のメリット、デメリットを十分に理解することが大切」だという。
特に呼吸器系の病気や肥満、先天性の病気などの基礎疾患がある子は、新型コロナにかかったときに重症になる可能性があるため、必要に応じて接種することを検討したほうがいいそうだ。
冒頭でも触れたが、今回の調査はデルタ株以前の情報をまとめたものだ。デルタ株は従来株やアルファ株に比べて子どもに感染しやすいといわれている。
「第5波のときは、感染者の絶対数が増えたことで、子どもの感染者数も増えました。ワクチン接種が進んだ高齢者で感染者が減った一方、若者の患者が増えました。子どもも同様で、デルタ株は従来株よりも子どもに感染しやすいという印象を持ちました。ただ、重症化に関しては、子どもの感染者数が増えたことに伴って重症化する子も増えただけであり、デルタ株の影響で重症化する割合が増えたわけではない印象を受けました。これについては今後も検討が必要です」
第5波のまっただ中、夏休みが終わって2学期が始まるときには、学童の感染者が爆発的に増えるのではないかと危惧された。だが、実際はそういうことはなく、ジワジワと減っていったという。
「当院では第5波では都の要請に基づいてコロナ病床を40床ほど用意していましたが、第5波のピーク時にはそのベッドの多くが埋まっていました。現在は新型コロナの入院患者はほとんどいませんが、第6波への備えも必要。軽症のお子さんどうみていくのかなどについては、これからも必要な情報として発信していきたいと思います」
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