「残念な自己啓発」3つの落とし穴とは 基礎を大切にしない人は、仕事への「誇り」を失う

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残念な自己啓発パターン2:「中途半端」型

ひとつ目のパターン「割り切り・決めつけ」型が、その道以外の可能性を理由もなく排除して突き進んでしまうものだとすれば、この「中途半端」型はその対極とも言える。つまり、「あれも、これも」と、とにかく目につくものに飛びついてしまうパターンだ。セミナーと聞けば参加し、勉強会と聞けば顔を出す。本も売れ筋のものはジャンルを選ばず押さえておく。

もちろん、会社の中の狭い世界で閉じて、何も動かない人よりいいことは間違いない。しかし、この手のタイプの怖いところは、「結果的に何も残らない」という可能性が高いことだ。

すでにビジネスで成果を出している人ならばおわかりになると思うが、ビジネスにおいては、「どこかで聞きかじった」程度の知識は何の役にも立たない。言葉の意味や背景を深く理解しないままに、難しい横文字やバズワード(はやり言葉)を振り回していても、自己満足以外に得られるものはないだろう。ましてや、その食い散らかした知識が自分の中で体系化されていないのであれば、なおさらのことだ。変な知ったかぶりを誘発して、「何も知らないほうがマシだった」ということすら起きるだろう。

何においても「生兵法は怪我の基」だ。中途半端に知識を食い散らかしていることで、「勉強している気」になっている人は、その危険性に早く気づいたほうがいい。

残念な自己啓発パターン3:「ビジネスヒーローあこがれ」型

最後のパターンは、著名経営者やビジネスヒーローにあこがれを持ち、それにのめり込むタイプだ。

わかりやすい例で言えば、スティーブ・ジョブズなどが該当するだろうが、それ以外でもわれわれの身の回りにはすご腕の大企業経営者や起業家などのビジネスヒーローに関する本や講演会、セミナーなどがあふれている。その手の本は、ストーリーとしてわかりやすく、歯切れのいい言葉にあふれていて、とても刺激的である場合が多い。もちろん、あこがれを持ってのめり込んでいく気持ちはよくわかるし、それが趣味の範疇であれば否定するものではない。

しかし、それはあくまでも趣味の世界であり、能力開発にはなりえない。なぜならば、そこに書かれているのは、全体の事実におけるわかりやすい一部分だけをとらえたものにすぎないから、そして何よりも、そのビジネスヒーローにおけるフィールドと自分自身のフィールドに距離がありすぎるからだ。

そこを深く考えないままに、表面的な部分や言葉に影響を受けて、自分自身の実際のビジネスにまで何らかの影響を与えてしまうようであれば、少々注意が必要だろう。

その行動は、例えるならば、野球を習いたての少年が、イチローの振り子打法や背面キャッチなどを必死にまねするようなものに近い。皆さんがコーチだとしたら、「その前にやることがあるだろう」と言いたくなるはずだ。

誰かを尊敬し、あこがれを持つことは大事なことであるし、時として原動力にもなるだろう。しかし、足元がおろそかになったままでは、「浅い」と言われても仕方ない。

次ページ3パターンに陥っている人は、仕事に誇りを持てなくなる
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