「残念な自己啓発」3つの落とし穴とは

基礎を大切にしない人は、仕事への「誇り」を失う

本来であれば、その壁にぶつかったタイミングを好機として、自分の行くべき方向性を自ら考え、納得できる能力開発の道を見いだすことが理想であろう。しかし、実際にはそこから「能力開発の迷路」に入り込んでしまう人がいることも事実だ。

連載第1回となる今回は、そのような「自己啓発」という課題に向き合った結果として、典型的に陥りがちなパターンを3つにまとめてみた。若手の方を中心に、思い当たるふしがないか、ぜひチェックしてみてほしい。

残念な自己啓発パターン1:「割り切り・決めつけ」型

「僕は人事マンとして生きていきたいんですよね。だから、社労士の資格を取っておこうと思いまして……」

「経理をやっているので、もう少し深く会計の勉強をしておきたい。税務あたりのことも詳しくなりたいなと……」

多くの若手ビジネスパーソンから、こういった言葉を聞く。自分が担当している業務の専門性を高める姿勢は、もちろんすばらしい。これ自体が悪い、と言うつもりはまったくない。幅広い可能性を視野に入れながら、今の業務に心底魅力を感じ、そこで生きると決めたのであれば、その専門性を1日も早く伸ばしていくのは望ましいことだ。

しかし、こういう話の過程で気づくのは、この手の言葉を言う人の大半は、明確な理由なく、わずか数年の実務経験を基に「自分はこれで生きる」と決めつけてしまっているということだ。自分が担当している業務以外の可能性を早々に排除し、「割り切った」「決めつけた」能力開発にいそしんでいるのであれば、それはやや怖い話である。

社会人としてのキャリアが仮に70歳まで続くとした場合、20代の人には、まだ40年以上は残されている。その残りの人生を、たかだか数年の経験で割り切ってしまっていいのだろうか?

もちろん、若いうちから何らかの専門性を高めておくことは否定しない。むしろそういった行動が新たな可能性の発見につながることもある。しかし、同時に視野に入れておかなくてはならないのは、環境変化の可能性である。もし、会社や職場において、その専門性がいっさい必要とされない環境になったらどうするのだろうか。

その道で生きる、と腹がくくれているのであれば、会社を飛び出してその道を極めればいい。しかし、そうではない人が、「割り切り・決めつけ」型の能力開発に励んでいるのだとしたら、それはやはり危険な状態であると言わざるをえない。この危うさに気づかない「割り切り・決めつけ」型の自己啓発パターンに陥っている若手ビジネスパーソンは、意外に多いと考えている。

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