「才能開花できる子」「できない子」2つの決定的差 スポーツする子を持つ保護者にしてほしいこと

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ブルームの研究は、才能ある若者のキャリアを3つの段階、初期、中期、後期に分けている。私は、哲学者アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドの言葉を拝借し、「楽しさを求める段階」「技術を求める段階」「上達を求める段階」と呼んでいる。

①楽しさを求める段階

初期の段階。ある子どもはスポーツをするのが大好きだ。彼女は外に飛び出していき、ボールを蹴ったり、キャッチボールをしたり、プールに飛び込みたくて仕方がない。

この子どもは直ちに成功を収めるだろう。彼女は友人たちよりもスポーツが得意なので、さらにやる気が出る。ブルームの研究の言葉を借りると、「水泳という競技と楽しく出会う数年間」である。

この段階では、楽しめるかどうかが重要なポイントだ。「最初の数年間、楽しさのあまり興奮する、ということがなければ、中期と後期は訪れない」のだ。ある水泳選手は言った。「練習は楽しかったです。楽しすぎて、疲労困憊していても気付かないのです」

監督がポジティブな人であることが非常に重要

この段階における監督の役目は興味深い。最初の監督がポジティブな人であることは非常に重要だ。スポーツを始めて間もない選手の指導者となる監督のほとんどは、技術的な専門家ではなく、選手をやる気にさせるのが上手で、その競技が好きで熱心だ。

ブルームの研究によると、「質的に大事だったのは、彼ら(監督たち)が初期の学びを楽しい、やりがいのあるものにしたことだ」。彼らは、子どもたちを繰り返し褒め、ほとんど注意しなかった。しかし、彼らは決して甘いとか手ぬるいというわけではなかった。ルールや目標値を設定し、子どもたちが上達していくことを求めた。しかしそれらは、ほぼ肯定と称賛のみを通じて行われたのだ。

あるとき、誰かが(多くの場合は保護者が、ときにはスカウトが)子どもの才能に気付くと、中期、またの名を「技術を求める段階」へとステップアップする。

②技術を求める段階

この段階は、技術的に熟練した監督がその子どもの世界に出現することをもって幕開けする。正しいやり方を確実に学べるように、専門家から指導を受けられるように誰かが手配するのである。この段階への移行は、危険をはらんでいる。

映画『ボビー・フィッシャーを探して』(1993年、監督スティーヴン・ザイリアン)は、才能のある子どもが(この映画ではチェスの才能のある子どもが)楽しさを求める段階から技術を求める段階に移行する際に、危険な目に遭う可能性があることを検証し伝える、素晴らしい映画だ。

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