日本人は低い食料自給率のヤバさをわかってない 6割以上を海外に頼る状況を放置していいのか
主食の穀物などの値上がりは、原油価格の値上がりと同様のインパクトを持っている。日本では大きくクローズアップされることがないが、食品の7割近くを輸入に頼る危機感を、日本人はもっと意識しなければならない。
実際に、日本の食料自給率の実態を見てみよう。たとえば品目別のカロリーベースの食料自給率は次のようになる(2020年度、農林水産省「カロリーベースと生産額ベースの食料自給率」より)。
●野菜…… 76%(生産額ベースでは90%)
●魚介類…… 51%(生産額ベースでは49%)
●果実…… 31%(生産額ベースでは65%)
●大豆…… 21%(生産額ベースでは47%)
●小麦…… 15%(生産額ベースでは19%)
●畜産物…… 16%(生産額ベースでは58%)
●油脂類…… 3%(生産額ベース47%)
日本で100%自給できている食料といえばコメぐらいしかない。食料自給率を国際比較で見ても、日本の低さが際立つ(農林水産省、2018年、日本のみ2020年度、カロリーベース)。
●オーストラリア…… 200% (生産額ベースでは128%)
●アメリカ…… 132% (生産額ベースでは93%)
●フランス…… 125% (生産額ベースでは83%)
●ドイツ…… 86% (生産額ベースでは62%)
●イギリス…… 65% (生産額ベースでは64%)
●イタリア…… 60% (生産額ベースでは87%)
●スイス…… 51% (生産額ベースでは50%)
●日本…… 37% (生産額ベースでは67%)
ちなみに、農水省食料安全保障室の「食料需給表(令和2年度)」によると、日本の穀物自給率は28%(2018年度)、2018年のデータでは172の国・地域中128番目、OECD加盟38カ国中、32番目となっている。
日本の食料自給率が低いのは農地面積が少ないから?
日本の食料自給率は、なぜこんなにも低いのだろうか。人口の少子高齢化によって、農業人口が大きく減少していることなどがその原因といわれるが、もっと根源的な部分にも理由があるのかもしれない。
たとえば、ちょっと古いデータだが、日本と先進国の農地面積を比較してみよう(2017年、農林水産省「知ってる?日本の食料事情 2020年12月」より)。
●オーストラリア……3億9380万ヘクタール
●カナダ……5769万ヘクタール
●フランス……2870万ヘクタール
●ドイツ…… 1810万ヘクタール
●イギリス……1780万ヘクタール
●イタリア……1283万ヘクタール
●日本……444万ヘクタール
日本の農地面積は、ほかの国に比べて桁違いに少ない。1人当たりの農地面積で見ても、日本はわずか3.5ヘクタール(資料出所:同、以下同)しかない。オーストラリアの約400分の1、アメリカの約40分の1、イギリスの約8分の1の農地面積しかない。これでは、国民の食料を賄っていけないと考えるのが自然だ。
「農家一戸当たり」の農地面積を見ても、EUは日本の7倍(農林水産省、2009年、以下同)、アメリカは104倍、オーストラリアは1591倍というデータもある。
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