メルカリのようなフリマ事業はシェアエコノミーの世界観のひとつであるとし、AirbnbやUberより広義にとらえるとC2Cとなる。世界においてそれらのようなポジションを築き上げたいと考えているようだ。
米国展開がメルカリの本丸
2014年8月時点でメルカリは収益化していない、売り上げゼロのサービスである。本特集第2弾で紹介予定のフリルは手数料制を採用しており、出品者は成約金額の10%をフリルに支払う。収益化に関してはフリルのような手数料モデルと広告モデルの2パターンが考えられると山田氏は述べる。
「将来的には手数料の導入も検討しています。他社の10%は適正かと思いますが、米国では5%とか配送料込みで20%という事例もあります。注目しているのは広告モデルで、普通に出品していたのでは成約しにくいので、出品者が課金して出品を上位表示させるという仕組みです。中国の淘宝(タオバオ)も米国のEtsyも手数料ではなくこの広告モデルを採用しています。全体の流通額に対して3~5%程度の売り上げが上がっているとも聞いており、手数料モデルではなく広告モデルのみという収益化もありうると考えています」
収益化の方法はほかにはヤフオクが採用している月額課金(Yahoo!プレミアム:ヤフオクのみではなくYahoo!一連のサービス特典を受けられる)もあるが、海外ではDropboxのようなインフラやHuluのようなエンタメしか月額課金が機能していないことを引き合いに出し、メルカリとの相性はあまりよくないのではないかという見解を山田氏は示した。
最後に海外展開について。国内ではダウンロード数ベースでは屈指といえるメルカリだが、本丸は米国展開だという。
「私自身、月の半分から3分の2を米国で過ごし、米国での立ち上げに時間を割いてきました。2014年内にサービスをリリースしたいと考えていますが、日本のメルカリをそのまま踏襲するわけではなく、米国にローカライズしたUXを磨き込んでいます。テキストが少なく、シンプルで誰が見てもわかるようなモノです。それなりの手応えもあります」
米国での立ち上がり次第では、一気に勝負を懸けるために次の大型資金調達も視野にあるという。米国で成功し始めれば、競合が日本以上の資金力で立ち上がってくる可能性がある。そうなる前に先手を打ちたいという山田氏の読みは、幾多もの修羅場をくぐったであろうシリアルアントレプレナー(連続起業家)の感覚といえるかもしれない。
米国で成功すれば米国での上場も見据えたいという。「最悪、国内で負けても米国で勝てればいい」と山田氏は米国展開に懸けている。幾多もの日本のスタートアップが米国進出にほとんど失敗してきている中で、メルカリはどのような運命になるのか。山田氏の手腕に期待したい。
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