木下富美子都議の進退がここまでこじれている訳 無免許運転中の人身事故、どうけじめをつけるか

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木下都議が一般人であればここまでの批判は浴びないかもしれません。しかし、誰よりも法令順守が求められる公職の立場においてはあまりに軽率すぎる行動でしたし、反省の弁を述べるだけで有権者の納得を得られることは難しい状況に見えます。

都議会による木下都議への召喚状の送付は除名に向けた動きとの報道があります。これは、地方自治法135条に基づき、強制力のある懲罰「除名」を適用することの意味だと考えられます。

<地方議会における除名>

「除名は懲罰の一種であり(地方自治法第135条第1項)、その動議を議題とするには議員の定数の8分の1以上の者の発議によらなければならない(地方自治法第135条第2項)」

議員の3分の2以上が出席した本会議で、4分の3以上が賛成すると除名は成立し、木下都議は失職します。一方、木下都議の行為が地方自治法における「懲罰」に当たるかは議論の余地がありそうです。なぜなら議会の除名処分はあくまで本会議や委員会での問題行動が対象になるためです。今回の無免許事故は議会における直接的な活動ではないため、地方自治法第135条第2項のルールが適用されないという法的判断がありえるためです。

さらに、木下都議は体調不良で診断書を提出しています。あるテレビ番組を見ていたら一部のコメンテーターが「都議会が指定した場所で診断書をもらえばいい」というコメントをしていましたが、体調不良で移動困難と主張されたら強制することはできません。また、提出済みの診断書に疑いの目を向けることは、センシティブにもなりかねないという問題をはらみます。

簡単に辞めさせることができない

小池百合子・都知事は、議会から召喚状が届くことの意味を訴えて、辞職するよう求めました。しかし、本人が拒否する場合、辞めさせる手段はありません。リコール(解職請求)に関しても、当選後1年を経過しないと実施できないのです。

活動をしていない期間に支払われる議員報酬や政務活動費に批判が強まりますが、木下都議は、「議会欠席期間中の『議員歳費』は受け取るべきではないとの考えです」「しかしながら、公職選挙法により『議員歳費の返納』ができないため、公の活動への『寄付』に充てるなど、しかるべき対応をとって参りたい」との考えを自身のホームページで公表しています。

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