東京駅八重洲口「新バスターミナル」でどう変わる 鉄道とバスの一大結節点に、利便性向上がカギ

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今後、「バスとの乗り継ぎ場所」としての機能がますます強くなる東京駅八重洲口だが、近隣地域へのアクセスも忘れないでもらいたい。具体的には日本橋地区、京橋地区などだ。

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東京駅にはJRの多くの路線が集まっているが、JR以外の都市圏内鉄道の乗り入れは東京メトロ丸ノ内線だけである。都内最大の地下鉄ジャンクションである大手町駅が近いが、乗り換えには距離がある。また、八重洲口側には他の鉄道が乗り入れていない。このあたりが、長距離列車のターミナルではあるが、地域の核としての機能がやや弱い東京駅の特徴でもある。

つくばエクスプレスや都営地下鉄浅草線の東京駅乗り入れ構想が立てられたこともあるが、現在、特に具体的な進捗はない。日本橋の三越や高島屋あたりまでは八重洲口からぶらぶら歩いていけば楽しいが、実際は回遊性にいささか乏しいように思う。有楽町駅と銀座の間と比べて、心理的な距離がやや遠い。

無料バスには不便な面も

この欠を補っているのが「メトロリンク日本橋」だ。地元企業が広告として出す協賛金で運行しているため、無料で乗車できる巡回バスである。なかなか本格的な路線バスで、八重洲口からは、東京駅から日本橋・JR新日本橋駅前エリア、または京橋・室町エリアを巡回する「メトロリンク日本橋」と浜町、人形町、兜町エリアまで足を延ばす「メトロリンク日本橋Eライン」が走る。前者は10時〜20時の間、約10分間隔。後者は平日8時〜18時、土休日は10時〜20時の間、約22分間隔で運行しており、利便性は高い。

メトロリンク乗り場は八重洲北口からも少し離れている(筆者撮影)
メトロリンク日本橋Eラインのバス(筆者撮影)

ところが、東京駅における乗り場が不便だ。「東京駅八重洲口」と呼ばれるバス停はあるが、八重洲口の目の前とはいかず、少し北へ歩いた鉄鋼ビルの前。呉服橋交差点の近くになる。知らなくては乗りにくいし、そこまで歩いたのなら、コレド日本橋のあたりならバスを待つよりそのまま進んでしまったほうがいい。

これを解消できないものだろうか。東京駅高速バスターミナルには都バスの系統もいくつか乗り入れている。無料とは言え、せめて同じ場所にできないか。

再開発ビルがすべて完成したとき、東京駅でも日本橋でも京橋でもない「八重洲」と呼ばれる町が駅前にできることを期待したい。そしてその町が東京都内、関東一円、そして全国と有機的につながっていれば、これ以上はない良い立地条件になるはずだ。

土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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