東京駅八重洲口「新バスターミナル」でどう変わる 鉄道とバスの一大結節点に、利便性向上がカギ

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その一方で、グランルーフの下には高速バスターミナルが整備された。1969年に東名ハイウエイバス乗り場が設置されて以来、東京駅八重洲口は高速バスとの結節点として機能していたのだが、1980年代後半から東京と関東地方各地を結ぶ高速バスの新設が相次ぎ、手狭となってきた。そこで再開発にあわせてリニューアルと拡張工事が施され、2013年に東京駅高速バスターミナルとして再オープンしたのである。

東京駅を出発する高速バス(筆者撮影)

ここには長距離夜行バスも発着するが、運転本数の上で主力となっているのは、千葉、茨城、栃木、群馬方面などへの中距離バスだ。鹿島神宮行きや館山行きなど、利便性や価格でJRの特急を圧倒し輸送の主軸となっている系統や、水戸、いわき方面など、常磐線の特急と競合関係にある系統もあるが、JRバス関東が参入するなどして、JR東日本グループとしてのバランスを取っている。そもそも、鉄道と比べて所要時間は長いが運賃は安いのが高速バスの特徴。顧客層のすみ分けはできている。

むしろ、新幹線で東京駅に到着し、高速バスに乗り換えて館山やつくばなどの中小都市へ向かうような流動も十分に考えられるところ。バスターミナルを鉄道の改札口を出てすぐのところに集約したのは、施策として当然であろう。ただ、ここはJR東日本の持ち物だけに、使用料の問題などがあるのか。京成バスなど一部の会社や、ツアーバスから転じた新規参入組などは乗り入れておらず、八重洲口周辺に乗り場が散在している状態である。

「八重洲バスターミナル」が建設中

これを解消し、東京駅高速バスターミナルへ乗り入れていない会社の乗り場を集約する、仮称「八重洲バスターミナル」計画が進んでいる。

地下に八重洲バスターミナル東地区ができる再開発ビルが建設中(筆者撮影)

外堀通りに面して、八重洲通り北側の「東地区」、八重洲通りと鍛冶橋通りに挟まれた「北地区」「中地区」に、それぞれ建設される高層ビルの地下をバスターミナルとする、国内最大規模となる計画だ。2020年12月には運営事業者となる京王電鉄バスと、整備主体であるUR都市機構の間で基本協定が締結された。北地区は2022年8月に一部オープンの予定。2028年度予定の中地区の開業にて、全面オープンとなる計画である。

これで、バス乗り場については、かなりすっきりするようであるが、やはり外堀通りを挟んで向かい側となるだけに、鉄道側の目線としては連携が気になるところ。もちろん、八重洲バスターミナルは東京駅との連絡通路も併せて整備するが、バスタ新宿ほどの"一大集約"にはならなさそうだ。

広大なバスターミナルで利用客が、乗るべきバスがどこから出るのかわからず迷わないよう、案内には十分に配慮願いたい。きっぷの発券などの問題があって、会社ごとの「縦割り」を脱するのはなかなか難しいとは思うのだけれど、できれば「千葉県方面行きは、会社問わず東京駅高速バスターミナル」「茨城県方面行きは八重洲バスターミナル北地区」とのようにでも整理できれば理想的ではある。

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