日本で今、値上げ「できる会社・できない会社」の差 買い時の企業を見極めるにはどうしたらいいか
その一方で、木造住宅の建築費は約1割が木材価格だと言われていますが、大手住宅メーカーの積水ハウスや大和ハウス工業は、木材価格の上昇分を住宅価格に転嫁せざるを得ないと言っています。住宅は何十年に一度の買い物ですから、多少値上がりしても消費者は購入します。だから、値上げが可能なのです。
値上げができる企業とできない企業を見極めることも、投資家には重要になります。
今後、日本の物価が上がるのか、下がるのかと聞かれたら、「輸入物価と企業物価の上昇に押されるかたちで、消費者物価も上がり始めるのではないか」と答えます。これはあくまで私の仮説ですので、みなさんも指標を見て、自分なりの仮説を立ててください(消費者物価指数は2021年8月に算出方法が改定され、さらに低下することになりました)。
景気の動きを示す「景気動向指数」
日本の景気が弱いため値上げができないと述べましたが、それも指標で確認しておきましょう。内閣府が調査・発表している「景気動向指数(CI)」は、生産や雇用など、さまざまな経済活動を表す指標の中から、景気に敏感に反応すると考えられる29種類の指標の動きを統合したものです。
CIは、Composite Indexの頭文字で、変化の方向と量を同時に示すことができます。計算方法は複雑なので説明を省きますが、基準となる年の水準を100とし、その基準年に比べてどれだけ変化しているかを表しています。
景気動向指数には、「先行指数」「一致指数」「遅行指数」の3つがあります。景気を先取りして動く「新規求人数」や「東証株価指数」などを対象にしているのが先行指数で、景気とほぼ同時に動く「鉱工業生産指数」や「有効求人倍率」などを対象にしているのが一致指数、景気に遅れて動く「法人税収入」や「完全失業率」などを対象にしているのが遅行指数です。
ここでは、2019年10月以降の先行指数と一致指数を見てみましょう。新型コロナの影響を受ける前の2020年2月までは、先行指数、一致指数とも90を超えていました。消費税が10%に上がったこともあり、景気が良いとは言えないまでも、それほど悪いわけでもない状況だったことがわかります。
その後は下がり、5月は先行指数、一致指数とも70台になりますが、ここが底で、その後は上がっています。2021年3月には先行指数が102.4と、100を超えました。その後は、100を超えた状態で横ばいです。これは、今後少しずつ景気が回復していく可能性があることを示しています。これは、今後少しずつ景気が回復していく可能性があることを示しています。
新型コロナのワクチン接種が進んでいる欧米で経済が回り始めているように、日本でもワクチン接種が順調に進めば、2021年後半には景気が回復する可能性があると私は見ていますが、現在の景気は弱いと言えるでしょう。また、変異株などの影響が出れば、回復は間違いなく遅れます。
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