インドネシア、地方都市に広がる「空港鉄道」の波 建設や車両は国産化進むが、電化方式は日本式
さらに、この空港鉄道はKAI子会社のRailink(レイリンク)が運営するジャカルタの空港鉄道とは異なりKAI直轄の運行であるため、クレジットカードや電子マネーしか使えないジャカルタと違い、駅窓口にて現金でチケットを購入可能である。
また、KAI公式アプリ「KAI Access」から当日の最新の運行時刻が確認できる(チケットもアプリから購入できるが、決済方法が外国人観光客にとって難があるため、まずは駅で購入することをおすすめする)。ただし、定員制で運行されているため、発券枚数の上限に達した場合は乗車できない。
このように、一見非常に便利そうに見えるジョグジャカルタの空港鉄道であるが、初めて利用する場合は戸惑うかもしれない。というのも、とくにジョグジャカルタ駅から乗車する際には、KAIの運行する長距離列車、そしてインドネシア通勤鉄道(KCI)の運行する電車、気動車が入り乱れており、それぞれ切符売り場や乗車方法、改札口も異なるからだ。
KAIの列車は窓口またはアプリでチケット購入、QRコードをかざしてKAIの有人改札口から入場するが、KCIの電車はICカード(電子マネー)を自動改札機にタッチアンドゴーだ。1回券の発売はない。しかし、KCIの運行する列車でも、クトアルジョ方面に向かう気動車はKAIからの運行委託であるため、切符売り場はKCI、乗車はKAI改札口という具合に複雑だ。
2パターンある空港鉄道の運営
そして、肝心の空港鉄道はKAIの運行であるため切符売り場はKAIの長距離列車と共通だが、改札口は空港線専用改札が設けられており、こちらから入らなければならない。ジョグジャカルタ空港鉄道のオペレーターがKAIであることが、逆に状況を複雑にしているとも言える。
ただ、インドネシアは現在6都市に空港鉄道があるものの、空港鉄道会社であるレイリンクによって運行されているのはメダンとジャカルタの2カ所のみで、ほかはKAIによる運行である。
これは建設資金の出どころの違いによる。レイリンクはKAIと国営空港会社アンカサプラⅡの合弁会社であり、この2社からの投資、つまり民間資本(インドネシアの国営会社は筆頭株主を国とする株式会社であり、事実上の民間会社と捉えられている)で建設されたのがメダン(2013年開業)、ジャカルタ(2018年開業)の2路線である。そのため運営の自由度は高く、車両も公開入札で導入された。前者は韓国宇進産電製、後者はボンバルディアと国営車両製造(INKA)のコンソーシアムが落札している。ただし、運賃が非常に割高になり、いずれも利用者が伸び悩んでいる。
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