インドネシア、地方都市に広がる「空港鉄道」の波 建設や車両は国産化進むが、電化方式は日本式
一方、その後に建設されたジョグジャカルタを含む4つの空港鉄道は運輸省予算が投入されており、KAIが運輸省に線路使用料を支払って運行するという形態をとっている。そのため運賃が割安で、一部路線には国からの運行助成金も投じられているので、さらに安い。その分、国の意向が反映され、いずれもKAIとINKAとの随意契約で車両を導入している。
今回、ジョグジャカルタ空港鉄道向けには、前述のウォジョ駅からの空港連絡用として2018年に製造されたINKA製電気式気動車2本が主に用いられ、今後の増発用のマイナーチェンジ車4本がINKAで製造中である。
このような事情から、ひとえに空港鉄道と言っても、2つのパターンが生まれることになり、利用者にとっては少々わかりにくいものとなってしまった。しかし、今後新たな空港鉄道が建設される際は後者の運輸省予算方式、つまり国家プロジェクトとして、自国予算と自前の技術での建設に切り替わっていくものと思われる。
国内企業で完結する鉄道建設
インドネシアにとって、自国の予算と技術で着工できるならそれに越したことはない。スラウェシ鉄道マッカサル―パレパレ間(約150km)や、ジャカルタ首都圏の全線高架・自動運転方式(GoA3.0)のLRT Jabodebek(約45km)も国営企業が建設しており、来年には開業を控える。
鉄道技術に関してインドネシアは、INKAのほかに国営信号会社(LEN)も有しており、国営建設会社(ADIH、WIKAなど)が橋梁、トンネルを含めた土木工事を担うため、事実上、国内の企業で鉄道建設は完結することができ、近年ではこの方式でのプロジェクトが大半である。空港鉄道のような在来線の10km程度の延長ならば、なおさら容易である。
国家プロジェクトとして進んできたジョグジャカルタ空港鉄道はひとまず完成したが、路線は当初から電化を見越した設計で、現段階ではあくまで非電化による先行開業であり、早ければ来年にも電化工事に着工する予定である。
電化が完成すると、オペレーターはKAIからKCIに移管され、ジョグジャカルタ―ソロ間と一体的な運行が実現し、利便性が大幅に向上する。プランバナン遺跡最寄りのブランバナン駅までも空港から乗り換えなしになる。乗車方法も電子マネーをタッチするだけ、列車指定の面倒な乗車券購入も不要になる。
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