インドネシア、地方都市に広がる「空港鉄道」の波 建設や車両は国産化進むが、電化方式は日本式

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この空港鉄道はKAI南本線のクドゥンダン信号所から分岐し、空港ターミナルまでの約5.4kmの全区間高架新線として、運輸省予算で1兆1000億ルピア(約85億円)が投じられ建設された。2019年12月に着工し、2021年8月17日に完工式典が開かれた。列車は南本線に乗り入れジョグジャカルタまで直通運転、空港―ジョグジャカルタ間が最速39分で結ばれ、利便性が大きく向上することになった。

 

なお、鉄道ターミナル乗り入れまでの救済処置として、空港最寄りのウォジョ駅との間をシャトルバスで接続する形で、ウォジョ(一部はクブメン)―ジョグジャカルタ間に空港連絡列車を設定していたが、こちらは空港鉄道開業と引き換えに廃止されている。

今後は30~40分おきに

インドネシアでは7月、1日当たりの新型コロナウイルス感染者数が6万人弱まで急増したが、9月末時点では1000人前後にまで減少した。しかし、引き続き緊急活動制限(PPKM)下にあるため列車の運行本数は限られており、10月中旬現在、1日4往復のみの設定である。状況を鑑みつつ、今後は30~40分間隔程度での運行になる予定だ。

運賃は開業記念プロモーションで当分の間、2万ルピア(約154円)に設定されている。正式運賃は現時点で未公表だが、この水準の運賃と所要時間ならば、コロナ明けには多くの観光客で賑わうだろう。外国人観光客にとって、果たしてどこを経由するのかも定かでない空港バスや、言葉が通じない可能性があるうえ、値段交渉の心配のあるタクシーに比べれば、ひとまず市内中心の駅まで到達できる鉄道の存在はやはり心強い。

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