産業リサーチ(通信サービス) NTTの強さが圧倒的、新電電は提携に活路

約18兆円の市場規模を持つ日本の通信業界。2000年までは右肩上がりの成長を続けてきたが、2001年、2002年とほぼ横ばいで推移している。ただ、その業界構造は大きく様変わりしている。固定電話が急速に衰退、主役は完全に携帯電話、高速常時接続インターネット(ブロードバンド)に変わっている。
 通信業界は、1985年の自由化後、内外含めさまざまな新規参入があったが、現在は、NTT、KDDI、ボーダフォン(英国)、電力系の4グループにほぼ集約された。それぞれが、子会社などを通じて、固定電話から、移動体通信、インターネット、データ通信などを総合的に展開している構図だ。これに、一部の外資や、ADSLサービスを展開するソフトバンクなど、新興グループが食い込む形になっている。
 ほぼ落ち着いた格好の業界再編で、残る大型案件は、ボーダフォンの固定通信事業(日本テレコム)売却だ。リップルウッド・ホールディングスへの売却交渉が大詰めだが、固定通信事業はすでに通信業界のマイナー分野であり、どのような売却であれ、業界の大枠には関係ない。
 一方、将来の業界の主流となるブロードバンド・データ通信分野では、非NTT各社間の合従連衡が続いている。非NTTグループはIP電話の相互接続などで連係を進めているものの、他分野では競合する面があり、大々的な再編にまでは至っていない。
 通信業界の最大の収益源の携帯電話では、NTTドコモがシェア、ブランド、技術力、財務とあらゆる点で抜きんでている。すでに市場が成熟段階に達し、業界再編もなくなった現状でドコモの凋落はありえず、KDDIとボーダフォンが激しい争いを繰り広げることととなる。
 結局、ブロードバンドでも末端回線を事実上独占し、携帯でも6割のシェアを握るNTTグループが圧倒的な勝ち組であることは間違いない。唯一のリスクは政府による規制だったが、電気通信事業法の改正などで圧倒的な政治力を見せつけ、競争政策の骨抜きに成功している。
 ボーダフォンは世界展開と調達力が強みだが、財務力に弱みがある。KDDIは規模、財務体質のNTTとの格差が大きすぎる。電力系は親会社の意思統一ができないうえ、独占営業体質は抜きがたく、通信業界で競争相手たり得ない。
 NTTのリストラが一段と進み、競争政策上の縛りも緩くなる今後数年において、その強さは、さらに際立つことになるだろう。

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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