「コロナ直撃のアパレル」から見える経営のヒント ワールドとアダストリアの財務分析からわかる

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新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け業績が悪化している業界から、今回はアパレル業界を取り上げ、業績回復のための施策と今後の経営へのヒントを考える(写真:タカス/PIXTA)
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著者の西山茂氏は早稲田大学ビジネススクールの教授であり、公認会計士でもあるので、「専門家以外でも知っておいたほうがよい」会計・財務の知識・スキルを解説するにはもってこいの人物。その西山氏が新型コロナウイルスの感染拡大で、業績悪化した企業が立ち直るための「ヒント」を探る。

新型コロナウイルスによる業績悪化への処方箋

新型コロナウイルスの感染拡大が継続する中で、一部の企業の業績が悪化している。中でも、人の移動や接触が制約されることで、航空、鉄道、ホテル、観光、外食、アパレルなどの業界の企業は、大きな影響を受けている。

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今回はそのような業界の中からアパレル業界を取り上げる。店舗の休業や営業時間短縮、さらに在宅勤務や巣ごもり生活による需要減少などで苦戦しているアパレル企業は多い。アパレル業界を取り上げ、事業構造の違いからくる新型コロナウイルスの影響の違いや業績回復のための施策をもとに、そこから得られる今後の経営へのヒントについて考えていく。

具体的には、衣料品および雑貨について企画・デザインから生産、販売までを一貫して行うビジネスモデルをベースに、多ブランドで事業展開をしているアダストリアとワールドを取り上げ、その比較をもとに考えていく。

グローバルワーク、ローリーズファームなどのカジュアルブランドを展開するアダストリア。一方、ワールドはタケオキクチ(Takeo Kikuchi)やアンタイトル(UNTITLE)やインディヴィ(INDIVI)などを展開し、カジュアルもフォーマルもカバーする。

まず、2社の新型コロナウイルスの影響をあまり受けていない2019年度と、大きな影響を受けた2020年度の業績の状況を見てみよう。アダストリアは2月決算、ワールドは3月決算と、決算期に1カ月の違いはあるが、1カ月の違いはそれほど大きくないと考え、そのまま比較していくことにする。

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