新築マンションがここまで高くなった「真の理由」

コロナ禍で家という空間への考え方も激変した

こうした機能をただでさえ狭いマンションの空間に夫婦2人分などを確保し、互いに気兼ねなくオンライン会議を行うのは至難の業といえます。

これまでは会社に通勤するためだけに必要だった家という空間に、働くという新たな機能が付加されることで、家に対する見方が劇的に変わってきました。

マンションの価格だけが一方的に値上がりしている

ところが、今の生活に適した住まいを新たに探そうにも、新築マンションの価格は上がっています。2007年に4644万円だった平均価格はこの14年間で31%もの上昇を示しました。いっぽうで私たちの収入は値上がり分だけ増加したでしょうか。

厚生労働省が発表するわが国の1世帯当たりの平均所得金額は2007年から2018年の間に556万円から552万円と、残念ながらほぼ横ばいで推移していることがわかります。つまり財布の中身はちっとも増えていないのに、買いたいマンションの価格だけが一方的に値上がりしているという構図になっているのです。

これでは新築マンションの購入がしんどくなるのはあたりまえです。なにせ新築マンションの価格は年収の11倍、都区部ならば14倍もするのですから。この勢いのままでいけばやがて新築マンションは私たちの手の届かないところに行ってしまうのではないかと、不安に駆られる気持ちもわかります。

新築マンションマーケットは、大相撲でいえば、土俵が3分の1に小さくなって、これまで前頭十四枚目までで競っていた力士が、小結以上で相撲を取っている状況にあるのです。よく新築マンション業界では、メジャー7(三井、住友、三菱、野村、東建、東急、大京)などと称していますが、残った彼らで小さくなったケーキを分け合っているのが実態です。

つまり、新築マンションはよく売れているから(需要があるから)、人気で高くなっているのではなく、あんまり需要がなくなったので、デベロッパーが供給を絞って特定の顧客にだけ販売している構図が見えてくるのです。

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