新築マンション、発売絞っても高値維持の限界

2020年の発売戸数は歴史的な低水準に落ち込む

発売を止めても、マンションの建設工事は粛々と進む。写真はイメージ(記者撮影)

分譲マンション市場にもコロナの影響が顕在化してきた。不動産経済研究所によれば、2020年1~6月に首都圏で発売された分譲マンションは7497戸と、前年同期比で5939戸も減少した。

発売激減の背景にあるのが、4月から5月にかけての緊急事態宣言下での営業自粛だ。大手デベロッパーを中心にモデルルームの閉鎖を余儀なくされ、新規の営業がストップ。テレビ電話などでリモート営業に乗り出す会社もあったが、「最終的にはモデルルームで現物を見せないと、なかなか契約に至らない」(マンションデベロッパー)と苦戦した。

コロナ前に発売した住戸が捌けない手前、各社は無理に新規発売を進めるよりも在庫の圧縮を優先した。その結果、予定されていた住戸の発売や新たなマンションプロジェクトの発表が先送りされた。マンション調査会社のトータルブレインの集計によれば、首都圏の新築マンション259物件のうち、100物件で住戸の発売を延期した。

下期の発売も低調

下期の発売戸数も、上期の落ち込みを巻き返すほどの勢いはなさそうだ。2020年の首都圏新築マンション発売戸数は、元々3万戸程度と見られていた。だが、トータルブレインの杉原禎之副社長は、コロナ禍を受けて「2万戸前後に落ち込みそうだ」と見通す。1991年のバブル崩壊時ですら2.6万戸だったことを考えれば、その少なさが際立つ。

年間2万戸とした場合、2020年下期の発売戸数はおよそ1.2万戸となる。2019年下期の発売戸数1万7802戸と比べると、それを下回る水準になる。モデルルームの「3密」を避けるためには案内できる客には上限があり、発売戸数の上積みは難しい。野村不動産はコロナ禍での契約進捗鈍化を理由に、2020年度のマンション引き渡し計画を当初の4000戸超から3700戸へと見直した。

発売減少は需要の不透明感だけでなく、売主であるデベロッパー側の事情に依るところも大きい。一般的に、マンションは商品設計から建築工事、引き渡しまでを2~3年のサイクルで回す。

体力のないデベロッパーなら値下げをしてでも資金回収を優先するが、現在の新築マンション市場は資金の潤沢な大手デベロッパーが中心。彼らは向こう数年分の開発用地をあらかじめ手当てし、客の購入意欲や同業他社の発売動向などをにらみつつ最も利益が取れる時期を狙って開発を進める。

超低金利を追い風に、利益が取れるタイミングまでマンション開発用に仕入れた土地の塩漬けをしても金利負担は重くない。コロナ禍での発売延期を受けて「マンション工事の発注が後ろ倒しになっている」(大手ゼネコン)など、すでに発売スケジュールの見直しが始まっている。

大手デベロッパーの間では、このような需給調整はこれまでも繰り返されてきた。だが、それらは中長期的な戦略に基づいたものだ。今回のコロナ禍という突発的なアクシデントに対しては、少々事情が異なる。

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