シングルファーザーを悩ませる「娘の生理」問題 実は子どもも父親に相談できずに困っている
児童扶養手当についても、前年所得で支給の有無を判断するため、タイムリーな支給が行われない現状がある。
「遺族年金については、昨年の国への意見書でも改善要望をお願いしました。所得や年齢で制限することについては、『人の命に差をつけるのか』というレベルの問題だと思います。
たとえ今の所得が高いとしても、それは今まで配偶者のサポートがあったから稼げていた額かもしれないわけです。
現在の遺族年金制度は、死亡時点で支給するか否かを判断され、その際に対象外となると、その後事情が変わって収入が大きく減った場合にあらためて受給できるようにはなっていません。
所得制限をなくすか、年収が下がった際に対応するような制度にする。また、支給の可否判断を亡くなったときの1回限りではなくて、一定期間ごとに行うなど、柔軟な運用ができるようにしてほしいです。
児童扶養手当についても、前年所得で支給するか否かを判断していますが、急に無収入になっても受給できないケースが出てきてしまいます。とくにコロナ禍では大いにありうる話です。
『1年後なら支給できます』では間に合わない人もいるはずです。弾力的な対応が必要なのではないでしょうか」
性に関するリテラシーの向上が大事
「イクメン」という言葉が定着するなど、昨今の父親は家事・育児により積極的とされている。各家庭によって差はあるにせよ、子どもを保育園などへ送り迎えしている男性を見る機会は珍しくない。
しかし、たとえ「イクメン」でもそう簡単にはいかないこともある。今井さんによれば、シングルファーザーが実生活でいちばん悩むのは、娘がいる場合の性教育および生理の対応だという。
「シングルファーザーからの相談だけではありません。私たちの団体には、シングルファーザー世帯で育った娘さんも多く参加していますが、『男親ではどうしようもなかった、聞くわけにもいかなかった』というような娘さんからの声もすごく多いです」
対処法まで精通している男性はかなり限られる。今井さんは、シングルファーザーが生理について学ぶ機会が大切だと話す。
「十分な知識がないと大変ですし、取り返しのつかないことにもなりかねません。そこで私たちは、生理に詳しい団体さんの協力を得て、はじめての生理準備BOX『READY BOX』というものを配布しています。
このBOXには、『生理とは何なのか』『生理になったとき、どう対処すればいいのか』といった内容をまとめた冊子や、実際に使える生理用品、生理用ポーチなどが入っています。
娘さんも初めての生理には戸惑うはずです。性に関するリテラシーの向上は、シングルファーザーにとって重要だと思います」