修復不可能、不仲の2人が仲直りできる唯一の方法 「水曜日のダウンタウン」ベテラン漫才師の奇跡

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最後に「なぜ視聴者はこんなに感動させられたのか」にふれておきましょう。

あらためて放送の流れを簡単に振り返ると、「3人で腕を組んでバージンロードを歩く」「娘が花嫁姿で涙ながらの説得」「長年支えてきたマネジャーの勇気ある言葉」「後輩が番組の放送を度外視して解散だけは避けるというギリギリの提案」「漫才を愛する2人がついに握手・抱擁」「即興漫才で笑いに変えたベテラン芸人のすごみ」「関係者を泣き笑いさせたホーム・東洋館での漫才」など感動のシーンが満載でした。

予定調和ではないリアルが生む感動

しかも「本気で解散を決意する」というシーンが2度もあり、視聴者をハラハラドキドキさせたことも感動を誘った理由の1つ。このところのバラエティは予定調和のイメージが色濃く、「どうせハッピーエンドで終わるだろう」と思われているケースが大半を占めています。しかし「水曜日のダウンタウン」はブラックな結末をいとわない例外的な番組だけに、「本当に解散してしまうのではないか」という緊張感が漂っていました。

そして見終えてみると、今回の放送は人間の喜怒哀楽、愚かさと素晴らしさを凝縮したドキュメンタリーであるとともに、極上のエンターテインメントだったのです。映像コンテンツとしてのスケールとクオリティはYouTubeなどの短尺動画では不可能なレベルにあり、制作サイドのチャレンジ精神や継続的な努力を感じて感動した人が多かったのではないでしょうか。

今回の放送で、おぼんさんは「俺は漫才が大好きだよ。人を笑わすのも大好きだよ」「(こぼんを)心底嫌いやないねんから」「『仲直りするときはこのネタ』って決めていた。すげえ楽しみ」などと仲直りしたいという本音が何度も漏れていました。一方のこぼんさんも多くを語らない性格ながらも、「(仲直りできなくても)普通でいい」と何とか歩み寄ろうとする姿勢を見せていました。

ともに不仲を解消したかったにもかかわらず、ここまでこじれてしまったことにあらためて驚かされてしまいますが、娘たちが「どちらかが亡くなったら絶対に後悔する」と見透かしていたように「周囲から見たら本音がバレバレ」というケースは少なくありません。程度の大小こそあれ、もしあなたに不仲な人がいて、本音では解消したいと思っているなら、ここであげた方法を試してみてはいかがでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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