修復不可能、不仲の2人が仲直りできる唯一の方法 「水曜日のダウンタウン」ベテラン漫才師の奇跡

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おぼんさんは「どうすんねんや。もう終わりやったら終わりでええよ。もう面倒くさい。俺にどうせいっちゅうねん」とこぼし、こぼんさんは「ほんじゃあ、もうやめましょか」と返しました。このような「関係性の終わり」は、ケンカの最中にいちばん口に出してはいけないフレーズです。

おぼんさんは「お前が折れろ」の一択に絞ったあげく、結論を相手に委ねました。一方的かつ投げやりな態度であり、まさに「売り言葉に買い言葉」。これではコンビ解散という流れに進んでしまうのも当然でしょう。ちなみに漫才コンビだけでなく、夫婦の離婚やカップルの別れ、組織からの辞職や退会などのケースも同様に「関係性の終わり」は、ケンカ中のときほど口に出してはいけないフレーズです。

距離を取り信頼する人の言葉を聞く

怒りにまかせて式場を出たおぼんさんを引きとめたのは、コンビを40年間見守り続けてきた谷川金市マネジャー。「堪忍袋の緒が切れた。自分が上やと思ってるからいかんねん。ホントにふざけやがって。何で俺が謝らなあかんのん」とまくしたてる、おぼんさんに、「ちょっと意地の張りすぎや。もうちょっと近寄ってくださいよ」などと声をかけ続けました。

コンビのことを知り尽くす温厚なマネジャーが珍しく語気を強め、「誰も悪くない」「何とか仲よくなってほしい」と訴えたことで、怒りの炎が鎮火。おぼんさんは「(マネジャーには)いろいろやってもらっているんだから……俺が(こぼんに)近寄ればいいの?」と解決策を口に出しました。

すかさず後輩のナイツ・塙宣之さんが「大人(になる)というか……」と声をかけたことで、おぼんさんは「そうだな。俺は大人やないな。本当にそう思う」と反省。不仲の相手と物理的な距離を取り、信頼を寄せる人々と向き合って話すことで過剰な怒りは収まり、事態改善への具体的な道筋が見えはじめるものです。

しかし、漫才師の性なのか「新郎新婦だよ~」とおどけて再入室し、握手を求めたおぼんさんをこぼんさんは受け入れませんでした。鬼の形相で「仲直りじゃない。仲直りじゃなくて、もう今の仕事で辞めようと思っています。漫才の仕事辞めます」と宣言。それを聞いたおぼんさんは「わかった。もうけっこうですわ。暗い性格やな。もっと楽しいやれ、人生」と捨て台詞を吐き、よりコンビ解散に近づいてしまったのです。

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