個人情報漏えい訴訟の勝敗を左右FB・CEOのメモ ユーザーへのプライバシー保護の約束反故にしたか

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フェイスブックはユーザー保護より自社の利益を優先-内部告発者

フェイスブックにとって今週は悪いニュースが相次いでいる。同社の複数のウェブサイトが前例のない世界規模の障害に見舞われたほか、内部告発者がインタビューで同社にダメージを与える内容を語り、4日の株価は5%近く下げた。

裁判所への提出文書によると、原告側弁護団はザッカーバーグ氏が2006年に書いたメモについて、同氏のノートブックの17ページ相当部分をきっかけに関心を持った。06年当時、同氏は22歳、フェイスブックは創業2年だった。このノートは、20年に出版されたスティーブン・レビー氏の著書「フェイスブック:ジ・インサイド・ストーリー」(原題)で言及されていたという。

原告側はこのノートについて「今回のケースの核心に触れる問題を扱うものだ」と指摘。「つまり、フェイスブックはザッカーバーグ氏の指示の下、提供データから利益を確保するためユーザーへのプライバシー保護の約束をほごにしたのではないだろうか。こうした見方は机上の空論ではない。フェイスブックがプライバシーに配慮しているとユーザーを安心させる運動は、ザッカーバーグ氏が先頭に立って展開してきた」と続けた。

これに対しフェイスブックは、将来の訴訟で証拠になり得ると考えた弁護士の助言でノートは処分したとザッカーバーグ氏が語ったとレビー氏が触れていた点に言及。また、一部はまだ残っている可能性もあるが、ザッカーバーグ氏がかなり昔に考えていたことを訴訟と結び付ける試みは「こじつけどころではなく、不条理だ」と主張した。

しかし、スペシャルマスターとも呼ばれる補助裁判官は、ノートが訴訟に関係あるかもしれないと結論付けた。その根拠には、レビー氏がノートはザッカーバーグ氏のプライバシーに関する考えも含む「プロダクトビジョン」の詳細を伝えるものだと論じていた点を挙げた。9月29日の命令で「いずれにせよ、フェイスブックは検証抜きにザッカーバーグ氏のノートが関係ないと主張することはできない」としている。

 

原題:Zuckerberg’s Early Notes on Privacy Now Haunt Facebook in Suit(抜粋)

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著者:Peter Blumberg

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