この際「あなたを嫌う人」は無視してもいい理由 結局「上司や同僚と仲良く」は建前でしかない

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シマオ:でもそれって割り切れますか?

佐藤:いえ、割り切れるのではありません。割り切るのです。シマオ君に冷たく当たる人がいても、「なぜこの人は自分に冷たいのか」「どうしたら優しくしてもらえるのか?」と悪い関係の原因や改善に心を砕くことはありません。

シマオ:関係の改善を望むより、そのままを受け入れる、ということですね。

職場は利益という共通項目が人をつないでいる

佐藤:もちろん人間関係において、感情のすれ違いを解けば、友好的な関係を築けることもあります。しかし、「職場」という「利益という共通目的が人をつないでいる特殊な場所」では、頑張ってもわかり合えない人は、ある程度いて当たり前。寄り添おうと頑張って、必要以上に傷つけられることなどありません。人は誰しもわかり合える。人を受け入れられないのは、自分に責任がある、など世の中に溢れる正論やコミュニケーション術に縛られすぎないでください。

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シマオ:「人の気持ちをわかるようになりなさい」って教えられてきたけど、根本からは無理ってことですよね。

佐藤:もちろん、人間は同じような身体を持ち、同じ言語を話しますから、同じ世界を見ているという共通の理解に到達することができます。しかし普段の私たちは、無意識のうちに他人も自分と同じ景色を見ていると思い込んで生活してしまっています。

シマオ:本当は全然違ったりもするってことですね。

佐藤:もちろん、これは哲学の話ですから、実際に会う人一人ひとりに対して「私と同じように世界が見えていますか?」と確かめろということではありません。とはいえ、「見えている世界」を価値観と捉えてみれば、根本的に異なる価値観を持つ人間どうしは相容れないと私は考えています。

シマオ:話すだけ無駄ってことですか?

佐藤:話すことは重要ですし、ケンカをするということでもありません。例えば、ジャーナリストの立花隆さんとは共著を出す際に深くお話をしましたが、根本的な考え方が異なっていると感じました。だから、立花さんとのお仕事はこれが最初で最後だなと、その時思ったものです。ですが、私は立花さんのことをとても尊敬していますし、そのお仕事をずっと追ってきました。価値観が違っても尊敬できる人はいますが、無理に距離をつめる必要はないということです。

佐藤 優 作家・元外務省主任分析官

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さとう まさる / Masaru Sato

1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。

2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年に『自壊する帝国』(新潮社)で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『読書の技法』(東洋経済新報社)、『獄中記』(岩波現代文庫)、『人に強くなる極意』(青春新書インテリジェンス)、『いま生きる「資本論」』(新潮社)、『宗教改革の物語』(角川書店)など多数の著書がある。

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