この際「あなたを嫌う人」は無視してもいい理由 結局「上司や同僚と仲良く」は建前でしかない
佐藤:会社の売上の8割は、全社員のうちに優秀な2割の社員によって生み出されているって聞いたことないですか?
シマオ:あ、それって働きアリの法則ですか? アリの集団の中で本当に働いているのはごく一部だっていう……。
佐藤:パレートの法則は、集団の報酬や評価は、構成員のうちのごく一部が生み出している、という経験則です。例えば、「会社の利益の8割は、2割の人によって生み出されている」といったようなものです。シマオ君のいう働きアリの法則というのも、このパレートの法則の一種だといえるでしょう。アリの集団のうち、「よく働くアリ、普通に働くアリ、怠けているアリ」の比率が、2:6:2だといわれています。パレートの法則は、厳密に証明されたわけではありませんが、ビジネスなど多くの場面で当てはまることが知られています。実はこの2:8の法則はビジネスだけではなく、人間関係にもいえます。
シマオ:え?
自分を嫌いな2割を見て萎縮してはいけない
佐藤:パレートの法則を人間関係に当てはめて、2割の人は自分を好きになり、6割は普通、2割は嫌いだと思うのです。多くの人は「自分を嫌いな2割」を見て萎縮してしまいがちですが、その他の「自分を好きな2割」、または「自分を好きでも嫌いでもない6割」に目を向ければ、見方が変わってくるのではないでしょうか。
シマオ:自分を好きな2割と、自分を好きでも嫌いでもない6割……。
佐藤:はい。人は自分が気になるところしか、目を向けません。シマオ君は、「自分を嫌いな2割」ばかりを見たくて見ている。しかしそれは全体像が見えてない証拠です。
シマオ:全体像が見えてない?
佐藤:はい。俯瞰して見れば、シマオ君が苦手だと感じる人は、会社全体のたった2割です。そんなことに気を揉むよりも、仕事を円滑に回すことだけを考え、横柄な態度の人、高圧的な言い方の人に会っても「この人は自分と合わない2割の人だ」と、気に留めないことが重要です。誰もが誰かに嫌われているのが世の常。「嫌われたくない」「嫌われるのが怖い」と思う気持ちが強いと、無意識に人に流され、シマオ君がシマオ君でいる意味がなくなってしまいます。つまり人生の主体性を失ってしまうのです。
シマオ:たった2割の人のことを考えて、人生の主体性を失ってしまう。それは嫌だな。
佐藤:会社はさまざまな人格の人が集まる場所。人から嫌われるのは「健全」な証拠だと思って、無駄なエネルギーをかけないことが大切なんですよ。
シマオ:そうか。そういうものなんですね。ちょっと楽になりました。
佐藤:考えてみれば、「他人」と「私」がわかり合えるということ自体が、不思議なことではありませんか?
シマオ:どうしてですか?
佐藤:例えば、私とシマオ君が、ここにいる「シマ」という猫を見ている。でも、それが本当に同じように見えているかは、わかりません。私にとっては猫でも、シマオ君にとってはボールに見えているかもしれない。
シマオ:えっ? もしそうなら、話しているうちに「おかしい」って気づくでしょう。
佐藤:そうですね。とはいえ重要なのは、自分と他の人では見ている世界が異なる可能性があって、それは究極的には確かめようがない。客観的な世界なんてものはなくて、確かなのはこの自分がいま見たり感じたりしている意識だけだということです。
シマオ:まあ、確かにそうではありますが……。
佐藤:誰も他人の頭の中を覗くことはできない。だからそんな他人からどう見られているかなんて、仕方のないことに頭を悩まさないことです。
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