昭和香る「今日から俺は!!」が若者掴んだSNSの技 日テレプロデューサーが明かす綿密な戦略
3話以降、インスタグラムやツイッターのフォロワー数が1日1万以上増える日が続出。また、当時流行りだしたばかりのTikTokでは、一般の方の「踊ってみた」「やってみた」動画が自然発生し、6話の段階で合計1.4億回再生を超えていたようです(楽曲違法使用により、その後は削除されたそうです)。
悔やまれるのは、これを知ったのが最終話直前だったことです。この反省を生かし、映画ではTikTok公式アカウントを立ち上げ、事前に楽曲権利をクリアにし、一般の方が自由に投稿して遊べるように根回ししました。さらに、自撮りすると金髪やツンツン頭に変身する「今日俺なりきりスタンプ」を開発するなど、“起きたムーブメントを広げる”ことと、“ムーブメントを起こす”ことの双方に力を入れました。
運用には柔軟に対応する瞬発力が不可欠
SNSの活用法は日々進化しています。制作サイドが、宣伝戦略として今後もSNSを用いる以上、SNSの進化にアンテナを張り続け、柔軟に対応する瞬発力は、実用的な運用に必要不可欠です。
一般的に、番組公式アカウントは、放送終了とともにフォロワー数が減るのですが、フォロワーはドラマを楽しんでくれた最も熱心なファンです。彼らが離れてしまった後に映画の告知をするのではもったいない。ゆえに、できるだけ早く映画化の発表をすることに尽力しました。
映画化が正式決定したのは2019年3月。発表はその翌月です。ちょうど「ドラマ全10話イッキ見イベント」の開催があったので、「ここだ!」と、その日にサプライズ発表することを決めました。予想通り、緩やかに減っていたフォロワーは、その日を境に右肩上がりに。最終的には、連ドラから映画にかけて、インスタグラムは約64万から約80万、ツイッターは約28万から約39万に増加しました。
しかし、発表から映画公開までは1年以上空いており、撮影も当分先でした。空白の時期はファンの期待感を持続させるため、連ドラ撮影時の蔵出し写真や動画をトレンドワードのハッシュタグに絡めて出したり、ドラマを連想するトレンドに乗っかったり、好評だった「今日俺LINEスタンプ」の第2弾制作では、 “連ドラのなかで好きなセリフ”をフォロワーに募集し、そのセリフをスタンプにする企画を催したりと、公式アカウントとの間に相互関係が生まれる工夫を行うことで、ファンコミュニティを絶えず刺激しました。一方通行で終わらないSNSだからこそできた施策です。
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